2023 Fiscal Year Research-status Report
オピオイド因性痛覚過敏におけるPDL-1の関与の検証
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23K15574
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松田 敬一郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10816961)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | OIH / レミフェンタニル / PDL-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
オピオイドは手術中および術後鎮痛の主要な治療薬だが、一方で術後痛を悪化させることが基 礎・臨床の両面から指摘されている。オピオイドの逆説的な発痛作用(opioid-induced hyperalgesia: OIH)のメカニズムは未だ不明である。全身麻酔時に使用されるレミフェンタニルもまた、術後のOIH を誘発する。オピオイドは、ミューオピオイド受容体(MOR)を活性化することにより、鎮痛作用及び副作 用(OHIや耐性)を引き起こすと考えられている。近年免疫チェックポイント分子として注目されてい るPD-1(programmed-cell death protein-1)、は間接的にMORとの相互作用を介して脊髄において 痛覚経路を調節している可能性が示されている。実際、PD-1の欠損はOIHと脊髄ニューロン—の興 奮性を増強することが報告されている。現在全身麻酔時にほぼ必須となったオピオイドの一つ、レミフェンタニルについても術後のオピオイド耐性や痛覚過敏(OIH)が起こることが知られている。 申請者はPD-1/PDL-1を介したMORへの間接的な作用が脊髄後角においてレミフェンタニルによるOIHの原因となっている可能性があるのではないかと考えた。 当該年度は、レミフェンタニルがOIHを引き起こすかどうかを行動実験によって示した。行熱刺激法のHargreaves法とvon Freyテスト用いた疼痛閾値評価を行った。レミフェンタニル はNeuroscience 2020; 446:28–42を参考に、足底切開後から4.0 μg/kg/minの量で60分間~120分間皮下投与し、直後に上記の疼痛閾値評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、行動実験によってOIHが生じるかを検討中である。レミフェンタニルを持続的に皮下注する技術に難渋したこと、持続する時間を当初60分と設定したがOIHの評価ができなかったことからさらに120分に延長して効果を確認しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、レミフェンタニル持続投与時間を120分にしたところ、行動実験でOIHを示す結果がえらたため、さらにn数を増やしていく予定である。引き続き電気生理学的に行動実験と同じタイムコースで脊髄後角ニューロンより細胞外記録を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、実験が思うように進まず、レミフェンタニルを用いた行動実験しか行えなかった。そのため薬品購入や電気生理学的実験に必要な物品の購入が抑えられた。 次年度についてはこれらの実験を進めるため特に薬品購入に予算が必要となると考えられる。
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