2023 Fiscal Year Research-status Report
Attempts to utilize NRF2 to reduce biotrauma in ventilator-induced lung injury
Project/Area Number |
23K15609
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武井 祐介 東北大学, 大学病院, 助教 (80822890)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人工呼吸関連肺傷害 / NRF2 / 細胞外小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工呼吸は重症呼吸不全にとって必要不可欠な治療である一方、人工呼吸関連肺傷害(Ventilator induced lung injury: VILI)を引き起こす。VILIの治療戦略は肺の過膨張(volu-torauma)を抑制する肺保護戦略であるが、ARDSなどでは正常肺容量が少なく、肺保護戦略であっても局所の肺過膨張を制御することは困難である。そこで肺保護戦略に加え、biotraumaを抑制することがVILIの治療に有効であり、本課題ではNRF2のbiotrauma抑制効果を検証する。 LPS気管内投与(0.1 mg/kg)24時間後に、高容量換気(20 mL/kg)を2.5時間行い、2 hit VILIモデルを作成した。NRF2ノックアウトラット、野生型ラットをそれぞれ6匹ずつ用いた。NRF2-KOラットでは、野生型に比較し、有意に酸素化が悪化し、肺血管透過性の指標である肺乾湿重量比が増加した。肺組織学検査では、modified VILI score (肺胞壁肥厚、出血、肺胞・間質内への炎症性細胞の浸潤)が有意に高値であった。また、肺胞洗浄液中の好中球数は有意にNRF2-KOラットで増加し、BAOF中のIL-6および、血漿中のIL-6値, IL-1β値が増加した。これによりNRF2は2hit-VILIモデルの肺傷害の進展に保護的に働くことが示唆された。 次に、野生型ラット、NRF2ノックアウトラットを用いた2-hit VILIモデルにNRF2活性化剤を投与し、VILIの進展を抑制するか検証した。LPS刺激6時間後(高容量換気18時間前)および高容量換気直前にNRF2活性化剤を腹腔内投与した。野生型ラットでは、酸素化能、および肺胞洗浄液中の好中球数およびIL-6値が有意に低下した。一方でNRF2ノックアウトラットではNRF2活性化剤は2 hit VILIモデルによる肺傷害を軽減させなかった。以上より、NRF2はVILIの進展を制御するように働いており、NRF2活性化はVILIのbiotraumaを軽減する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点でNRF2ノックアウトラット、野生型ラットを用いて2 hit VILIモデルラットを作成し、概ね順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、各種ラットの細胞外小胞の解析、肺組織のRNA・タンパク解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
現時点で保有している物品を用いて研究ができていたため、想定よりも今年度の使用額が少なかった。今年度に用いなかった研究費は肺組織のRNAシークエンスに運用する予定である。
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