2023 Fiscal Year Research-status Report
持続脳波による急性脳症のNCSの病態と神経傷害機構の解明
Project/Area Number |
23K15615
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山口 宏 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (80851849)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非けいれん性てんかん重積 / 非けいれん性発作 / 熱性発作 / 急性脳症 / 急性脳炎 / てんかん / 救急外来 / 持続脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性脳症は感染を契機に発症する小児救急領域における最も重篤な中枢神経疾患の一つである。急性脳症の病態は代謝異常、全身性炎症反応、けいれん性発作による興奮毒性などが考えられているが未解明である。本研究では当研究グループ独自の救急外来から集中治療室までの連続する持続脳波(cEEG)データ、患者検体、診療情報を用いて、急性脳症に特異的な非けいれん性発作(NCS)を含む脳波異常の特徴を解析し、脳波異常と神経障害マーカーや生体ストレス反応マーカーとの関連を調べることを目的とする。令和5年度は救急外来で意識障害を呈する小児に対する詳細なcEEGの解析を行った。熱性発作(FS),急性脳症/脳炎(AE/AES),てんかん,発熱を伴うてんかんに分類し、NCSを伴う56例を抽出してそのパターンを記述した。cEEGパターンはACNS Standardized Critical Care EEG Terminology2021に基づいて行った。Main term1は各群で差を認めなかった。Main term2ではFSとAE/AESで律動性デルタ活動が多く,てんかんと発熱を伴うてんかんでは棘徐波が多かった。FSの約25%のみに律動性シータ活動を認め、この活動が予後良好に関連する可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究計画では令和5年末までに症例の蓄積を目指すところまでであったが、令和5年度で既に脳波の解析まで完了しているため。今後は症例数のさらなる蓄積を行い、解析数を増やす。また令和6年度ではNCSを認めた既存症例検体での神経障害関連分子の測定系の確立を行う予定であるが、tau蛋白(神経軸索障害)、neuron-specific enolase (NSE)、S100β蛋白、glial fibrillary acidic protein (GFAP)、myelin basic protein (MBP)をELISA法での測定系の最適化を目指して既に現在測定中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度の研究計画では、さらなる症例の蓄積を行い脳波解析数を増やす。さらにMATLABを用いた詳細な周波数解析を追加する。また令和6年度の計画ではNCSを認めた既存症例検体での神経障害関連分子の測定系の確立を行う予定であり、現在測定中のtau蛋白、neuron-specific enolase (NSE)、S100β蛋白、glial fibrillary acidic protein (GFAP)、myelin basic protein (MBP)の解析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、NCSを認めた既存症例検体での神経障害関連分子の測定系の確立を令和5年度から令和6年度に継続して行っているため、令和5年度で測定できていないものを令和6年度で測定するため。
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Research Products
(5 results)