2023 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮グリコカリックス断片による、炎症促進および収束の2面性に関する検討
Project/Area Number |
23K15623
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三瓶 想 東北大学, 大学病院, 助教 (60966646)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 敗血症 / 血管内皮グリコカリックス / DAMPs |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は重症感染症の一つで、その本態は高サイトカイン血症を伴う微小血管障害である。死亡数も上昇傾向にあるが治療法は未だ確立されていない。本研究は高サイトカイン血症の原因として血管内皮細胞障害に着目し、それを保護する血管内皮グリコカリックスの関与について検討を行う。 血管内皮グリコカリックスは多彩な機能を有し、炎症にも関与する。特にその断片はdamage associated molecular patterns(DAMPs)としてtoll like receptor4(TLR4)と結合し炎症を促進する働きがある一方、high mobility group box 1(HMGB1)やヒストンなどの DAMPsを吸着する機能がある。そこで本研究ではこの血管内皮グリコカリックス断片の相反する機能に着目し、「血中の血管内皮グリコカリックス断片の量により、炎症を促進する方向から収束する方向に切替わるのではないか」と仮説を置き検討を行っている。 まず初めに野生型モデルマウスに惹起する炎症強度を決めるため、LPSの投与量について検討を行った。野生型マウスに対し、LPS 20mg/kgを腹腔内投与したところ、36~72時間後に全て死亡した。続いてLPSを 15 mg/kgに減量し、再度評価したが36~48時間後に全て死亡した。これは以前使用していたLPSとLotが変わったことによる影響と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
野生型モデルマウスに惹起する炎症強度を決めるため、LPSの投与量をこれまでのデータを鑑みて検討したが、LPSのLotが変わったため想像以上に炎症が強く惹起され、炎症強度を設定するのに時間がかかっている。 また血管内皮グリコカリックスの断片の炎症反応の影響について、その断片のサイズによって抗炎症作用などに対する影響が変わる可能性があることから、その投与方法について再度検討を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、野生型マウスに惹起する炎症強度を、生存率25-50%程度を目標とし、LPSの投与量について検討する。LPS投与量決定後、スロデキシドの投与量および投与タイミングについて検討を行い、生存率や炎症性サイトカインなどに変化がみられるか検討を行う。 また可能であれば、血管内皮グリコカリックスの主成分であるヘパラン硫酸について、分子量の異なる断片を投与し、効果に差異があるか検討を行う。
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