2023 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体デバイスを用いた敗血症性DICの病態解明
Project/Area Number |
23K15635
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
井上 孝隆 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80468454)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 好中球細胞外トラップ / 好中球遊走能 / 播種性血管内凝固 / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症性DIC(disseminated intravascular coagulopathy)の病態として、好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps, 以下NETs)による免疫血栓の関与が注目されている。しかし、信頼性の高いNETsの測定手法が確立していない背景から、免疫血栓とDICとの関連については明確な解明に至っていない。本研究では、既存の包括的な評価に加え、我々のマイクロ流体デバイスを用いて血液中のNETs量や好中球機能の測定を行い、敗血症病態下のNETsが播種性血管内凝固や臓器障害、臨床経過へどう影響しているか明らかにすることを目的としている。 研究代表者の異動に伴い、初年度にあたる令和5年度は研究環境の確立に大幅な時間を要した。本研究はマイクロ流体デバイスを用いて長鎖NETsや好中球遊走能を測定する実験であり、特殊な実験器機が必要となる。既に設備は整い、健康ボランティアから測定を開始し、患者検体の集積を開始している。 現在の施設においても多数の敗血症や敗血症性ショックの症例が救急搬送されており、研究を遂行するにあたり患者集積に問題は無い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い、初年度にあたる令和5年度は研究環境の確立に大幅な時間を要した。本研究はマイクロ流体デバイスを用いて長鎖NETs(neutrophil extracellular traps)や好中球遊走能を測定する実験であり、特殊な実験器機が必要となる。既に設備は整い、健康ボランティアから測定を開始し、患者検体の集積を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の対象である敗血症や敗血症性ショックの患者さんは、現在の施設でも多数入院加療されており、今後の患者集積に問題は無い。令和6年度は患者検体測定やデータ集積を継続して行う。 <令和6年度の研究計画> 敗血症患者の長鎖NETs定量測定と好中球遊走能の測定(令和7年度まで継続)、 健康ボランティアにおける長鎖NETs定量測定と好中球遊走能の測定 <令和7年度の研究計画> 凍結血漿検体のds-DNA定量測定、好中球活性測定、患者データや経過・検査結果を抽出し前述の測定項目との統計解析
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Causes of Carryover |
研究費用の主要な用途は、消耗品である。マイクロ流体デバイスを用いた測定に、消耗品としてPDMSボッティング剤や接続チューブ、ガラスボトムディッシュなどの資器材は購入が必要となる。令和5年度は研究体制の構築に大半の時間を要したため、これら消耗品の購入は最小限となった。次年度は患者さんのデータ集積を進める予定であり、これら多数の消耗品の購入を行う予定である。 マイクロ流体デバイスの作成装置や解析装置は概ね施設内に備わっているが、現在の研究室には乾燥機や倒立顕微鏡が設置されておらず、実験の遂行に必要となる装置の購入も検討している。 また、凍結血漿検体を測定するための生化学試薬として、サーモフィッシャー社より発売されているds-DNA定量測定キット、ケイマンケミカル社より発売されている好中球エラスターゼ活性測定キット、PGI社より発売されているIL-6 ELISAキットなど測定試薬類の購入を予定している。文献検索費用、文献印刷費用、研究ノート費用、プリンターインク代、印刷紙代、について、事務用品として消耗品費に計上する。
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