2023 Fiscal Year Research-status Report
熱傷における感染合併とビタミンD欠乏の関連性の解明
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23K15636
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 幸男 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00445272)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 熱傷 / ビタミンD / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱傷は体内の代謝に異常な亢進をもたらし、筋肉の萎縮、骨量の減少、免疫系の抑制の原因となる。この代謝亢進の機序の詳細は未だ明らかとはなっていないが、熱傷患者はしばしば血中のビタミンD濃度が低いことが知られている。近年、熱傷患者の入院時ビタミンD血中濃度と入院後感染症合併率に相関関係が認められる臨床研究が報告された。しかし、「ビタミンD欠乏が免疫機能低下に直接的に関与しているか」、更には仮にそうだとして「ビタミンDの治療的投与が免疫機能低下の改善に寄与するか」、は明らかでない。 そこで、今回ビタミンD欠乏状態マウスを用いて、two-hit modelと呼ばれる熱傷モデルマウスにリポ多糖(LPS)を投与する熱傷後感染症モデルを作成し、ビタミンD欠乏が免疫能低下と感染症併発に関与する機序を明らかにすることを計画した。 これまでに、我々はマウス熱傷モデルを用いて熱傷後のビタミンD低下が免疫機能に影響を及ぼすアミノ酸またはたんぱく質の変化を明らかにしようとした。その結果、これまでに血清中の分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度は熱傷後に上昇するが、ビタミンDの投与は骨格筋における熱傷により減少したクエン酸回路の代謝物の増加をもたらし、更に免疫調整に寄与すると考えられているBCAAを原料として骨格筋で生成されるグルタミンの血中濃度が増加した。これらのことから、熱傷後のビタミンD投与はBCAAを原料として骨格筋内でのグルタミン産生を増大させている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究設備・備品の故障と修理に時間を要し、実験が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験回数を重ねて、仮説を検証するための基礎データの有意差を得ることとする。
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Causes of Carryover |
実験の進捗が遅れているため次年度使用額が生じ、遅れを取り戻すべく実験回数を増やす。
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