2023 Fiscal Year Research-status Report
びまん性正中神経膠腫モデルにおける腫瘍溶解ヘルペスウイルスの有効性についての検討
Project/Area Number |
23K15647
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
冨田 祐介 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (90963033)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Diffuse midline glioma / 腫瘍溶解ヘルペスウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
1)H3.3K27Mを発現するマウスDMG細胞株の試験管内培養 H3.3K27M変異を持つマウスDiffuse midline glioma (DMG)細胞株の培養は、Nestin発現細胞由来腫瘍・Olig2発現細胞由来腫瘍のいずれもおいても安定的に行うことができた。多くのDMG細胞株は球状の形態を持って増殖したが一部のDMG細胞株では接着細胞へと容易に分化するものもあり培養条件の検索に苦慮した。DMG細胞におけるH3.3K27M変異の存在はサンガーシークエンスで確認できた。 2)H3.3K27Mを発現するマウスDMG細胞に対する腫瘍溶解ヘルペスウイルスの効果 3種類のDMG細胞株を試験管内で単独培養を行った。腫瘍溶解ヘルペスウイルスであるRAMBOは悪性神経膠腫細胞株に対する治療効果が確認されていることからこれを用いてDMG細胞株に対する治療効果を検証した。4つの多重感染度(multiplicity of infection: MOI)を用いて検討した結果、MOI 0.005でいずれの細胞株においても有意にDMG細胞の増殖を抑えることができた 。 3)oHSVのマウスDMGモデル確立 2種類のDMG細胞株(Nestin発現細胞由来腫瘍、Olig2発現細胞由来腫瘍)を用いてマウスDMGモデルの作成を行った。マウスは免疫保持マウス(C57BL/6)を使用した。生後4-6週マウスの脳幹部に定位的に投与することで浸潤性をもつ腫瘍を形成することが確認できた。生存期間中央値はOlig2発現細胞由来DMGモデルで43日、Nestin発現細胞由来DMGモデルで23日であり腫瘍は全てのマウスにおいて安定して形成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
適切なDMG細胞株の培養条件の選択に苦慮したが安定した培養を行うことができるようになった。マウスDMGモデルを作成する際、腫瘍細胞の投与手技を安定的に行うための手技の最適化に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoにおいては、DMGマウスモデルにおける腫瘍溶解ヘルペスウイルスの治療効果について生存解析及び組織学的解析による検討を行う。組織学的解析においては、表面抗原を用いた免疫組織化学染色により腫瘍微小環境における免疫細胞の変化について評価する。腫瘍溶解ヘルペスウイルスへの治療抵抗を示す要因を検討するため腫瘍組織を用いた発現解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度は、物品費(消耗品費)において、予定額よりも安価に購入ができたために次年度への使用額が生じた。繰越額は物品費(消耗品費)に引き続き充てる予定である。
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