2023 Fiscal Year Research-status Report
髄液中EVs由来microRNAの網羅的解析によるもやもや病の病態解明
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23K15664
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 欣也 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90867904)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | もやもや病 / マイクロRNA / 次世代シークエンシング / 細胞外小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は頭蓋内髄液中のEVsに含まれるmiRNAのうち、もやもや病で特異的に発現変動しているものを次世代シークエンシングによる網羅的解析により特定し、その機能を明らかにすることである。研究実施計画はa) 次世代シークエンシングによる変動miRNAの特定とb) 細胞実験によるmiRNAの機能解析であり、2023年度は前者についての研究を行った。もやもや病患者8例と対照として動脈硬化性脳虚血患者4名から、頭蓋外動脈-頭蓋内動脈吻合術中に頭蓋内の脳脊髄液を採取し検体とした。この検体からEVsを単離、EVsに含まれるmiRNAの抽出を行い、得られたmiRNAからライブラリーを作成し、次世代シークエンサーによるmiRNAシークエンシングを行った。得られたデータはキアゲン社のウェブサイトにアップロードしマッピングを行い、得られたmiRNAのリードカウントデータをもやもや病群と動脈硬化性脳虚血患者群で2群比較を行った。q vavlue<0.05 and | Log2 fold change | > 1 を発現変動miRNAとしたところもやもや病では動脈硬化性脳虚血と比較して153のmiRNAが高発現、98のmiRNAが低発現であった。最もq valueの低い10のmiRNAの内、血管病変との関連の報告がある4個のmiRNAを標的とした定量PCRではNGSと同様の結果が得られ、再現性が確認された。また、251の発現変動遺伝子の標的となるmessenger RNAをデータベース(ENCORI)を用いて検索しGeneOntology解析を行ったところ『cytoplasmic stress granules』 『RNA splicing』 をはじめ20個のGO termが有意であった。これらの結果を論文化し、Acta Neurochirurgica誌に投稿し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画はa) 次世代シークエンシングによる変動miRNAの特定とb) 細胞実験によるmiRNAの機能解析であり、初年度に前半部分の計画を遂行することが出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は研究実施計画の内、細胞実験によるmiRNAの機能解析を進めて行く。それとともに、EVs中にはmiRNA等の核酸だけでなく、ペプチドも含まれており、細胞間情報伝達に関わっているものと推察される。そこで、これらに対して、質量分析計(LC-MS/MS)による網羅的な解析が可能であると考えており、EVsに内包されるペプチドについて、もやもや病群と動脈硬化性脳虚血群の比較を行う計画である。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンシングを掛けた検体数が当初の計画よりも少なかったことで、予定よりも使用額が少額となった。このことにより、2024年度はEVs由来のペプチドの網羅的解析を行うだけの予算的な余裕が生じ得たと考えている。また2023年度の実験で得られた発現変動miRNAについては当初の研究計画に記載した細胞実験を進めて行く予定であり、現在のところ予算の執行については概ね計画通りに行われる予定である。
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Research Products
(2 results)