2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Tendon Tissue Macrophages and Establishment of Novel Therapy for Flexor Tendon Injuries
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23K15707
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩永 康秀 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (80906610)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 屈筋腱 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に成体の組織には、単球から分化する炎症性マクロファージとは独立して、組織の恒常性に重要とされる組織マクロファージが存在している。近年、腱組織にもマクロファージマーカー陽性腱細胞の存在が報告されており(Dis Model Mech. 2019 Dec 1; 12(12))、腱組織における組織マクロファージが徐々に解明されつつある。しかしながら、組織が一旦損傷されると、組織マクロファージは消失し炎症性マクロファージへと置換されてしまう。そのため、実際の治癒過程では組織マクロファージははほとんど組織修復に寄与していないと考えられている。そこで本研究では、炎症性マクロファージの侵入を防ぐことで組織マクロファージを保存し、活性化させることができるのではと着想し、腱組織マクロファージの活性化を通して腱の治癒過程を最適化する方法の確立を目指す。まず、免疫組織学的に腱における組織マクロファージの存在を示し、その局在を明らかにする。次に、当研究室で開発されたハイドロゲルで縫合した屈筋腱を被覆することで炎症性マクロファージの侵入を防ぎ、ゲル内での腱組織マクロファージの活性化の有無を解析する。また、遺伝子改変マウス(Ccr2-CreERT2; Rosa26iDTR)を使用することで炎症性マクロファージを消失させ、その環境下での腱組織マクロファージの挙動を解析する。最後に、コントロール群とゲル群のサンプルからシングルセル解析を行い、それぞれの治癒過程に関わる細胞集団を同定し、腱組織マクロファージが他の細胞集団に及ぼす相互作用を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
屈筋腱の組織マクロファージを同定した。 屈筋腱周囲のパラテノン組織には、CD68+/CD206+細胞が存在していることが、FACSの結果より明らかとなった。 また、免疫組織学的にも同定することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定した組織マクロファージをソーティングにより分離し、初代培養を行っていく。また、そのほかの組織マクロファージと遺伝子発現の差異を検証するため、すでに知られている組織マクロファージとの比較をRNAシークエンスによる網羅的解析で行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究室に現有している消耗品がまだ残っていたため、それを使用した。次年度では、遺伝子解析の消耗品を購入に充てる予定である。
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