2023 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌の前臨床モデルを用いたカボザンチニブ耐性獲得機序の解明
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23K15761
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
住吉 崇幸 京都大学, 医学研究科, 助教 (30846100)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / カボザンチニブ / 薬剤耐性 / 患者由来ゼノグラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で保有している腎細胞癌の患者由来ゼノグラフト(Patient Derived Xenograft.以後PDXと称する)であるKURC9と、代表的な腎細胞癌の細胞株である786-Oを用いてカボザンチニブの耐性株樹立を目指す実験を行った。カボザンチニブを連続投与することで腫瘍増殖の抑制がなくなることが耐性株樹立の目安とする。具体的な方法と、その結果を以下に記す。 ・PDXでの実験方法:既報を参考にして、PDXを移植したマウスに対し10㎎/体重(kg)の投与量で週5日の投与を行った。コントロールとして、カボザンチニブの溶液であるDMSOのみを同量で投与する群を設けた。コントロール群と比較して、カボザンチニブ投与群では常に腫瘍の増大速度は抑制される結果であった。1年間の投与実験を繰り返しているが、現時点ではコントロール群と比較して、カボザンチニブ投与群で増大速度の抑制なく成長する耐性株の樹立は確認されていない。 ・細胞株での実験方法:786-Oに対し、0μM(DMSO)、5μM、10μMでの濃度でカボザンチニブ投与を行った。10μMの投与濃度では当初安定継代が困難であったが、0μM→5μM→10μMと投与濃度を上げていくことで、10μMでも安定継代が可能な事が確認された。親株と10μM株の10μMでの細胞増殖をChromogenic assayで比較し、10μM株がカボザンチニブに対して耐性を持つことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PDXにおいては耐性株の樹立には至っていないが、細胞株において耐性株の樹立を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
PDXに対しては引き続きカボザンチニブ投与実験を行い、耐性株の樹立を目指す。当初の計画ではKURC9を中心に投与実験を行う方針としていたが、当研究室において過去にスニチニブでの耐性株樹立の実績があるKURC1も使用してカボザンチニブ投与実験を継続する方針とする。 細胞株においては786-Oで既に耐性株が樹立しており、これを親株とRNAシーケンスを行い耐性化に必要と考えられる因子の検索を行う。さらに、該当する遺伝子を細胞株において強制発現、あるいはノックダウンすることでカボザンチニブ耐性に対する感受性が変化するかを確認することでその妥当性を検証する。
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