2023 Fiscal Year Research-status Report
流体刺激と尿細管上皮細胞-線維芽細胞間相互作用が腎嚢胞形成に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
23K15766
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
西山 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 助教 (00802844)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腎尿細管 / 上皮細胞 / 間葉性細胞 / 線維芽細胞 / 細胞間相互作用 / 流体刺激 / 嚢胞形成 / 嚢胞性腎疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は流体刺激や細胞間相互作用が尿細管上皮細胞の極性、増殖、上皮間葉転換に与える影響の解析を通じ、尿細管上皮の恒常性維持機構およびその破綻としての嚢胞形成メカニズムの解明を目的とする。令和5年度はin vitroで 嚢胞性腎疾患を再現しうる細胞培養モデルの構築を行った。第一段階として、ゲル化したコラーゲン担体の表層で尿細管上皮細胞の単独培養を行い、ゲル中に線維芽細胞を埋めた共培養群と比較するとともに、静置条件と流体刺激条件を組み合わせた。実験結果の普遍性を検証するため細胞株は複数種を組み合わせて用いた。尿細管上皮細胞株としてイヌ由来MDCK、ヒト由来HK-2、ブタ由来LCC-PK1を用い、LCC-PK1で同様の結果を得た。一方、入手したHK-2細胞株は育成に難渋しており遅延した状況である。線維芽細胞株としてマウス由来NIH/3T3、ヒト由来MRC-5を用いることを計画しており線維芽細胞株の入手は今後行う。培養担体に用いるコラーゲンゲル内に微小流路を作成し、その中に尿細管上皮細胞を播種する試みは途上であり今後も手法の改良に努める。尿細管上皮細胞はゲル中に埋めた状態で培養すると自己組織化し微小な嚢胞構造を形成ことが知られている。この性質を利用し、微小流路作成と並行して、微小嚢胞形成が共培養や流体刺激下で見せる細胞動態の違いについても評価を行い、考察を深めた。培養して得た標本は、形態解析に加えて、細胞増殖や細胞極性、細胞間接着に関する蛋白質を標的として免疫組織化学的手法により染色を行い、標的蛋白質の局在や多寡を解析した。その結果、各条件下では増殖能、細胞間接着、極性に関与する分子の発現に違いが見られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画した、培養担体となるゲル中に微小流路を作製するにあたり管腔径の検討に時間を要した点、また流路の開存を保つうえで手法の改良が必要となり改善の途上であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
尿細管上皮細胞の嚢胞性腎疾患培養モデルの確立のため令和6年度も継続して改良を試みる。また、各条件下での細胞動態の違いについて、増殖、細胞極性、細胞間接着に関し本年度で得られた結果を元に、嚢胞形成の促進因子、抑制因子の検索を継続する。
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Causes of Carryover |
実験条件の検討に時間を要し、想定より物品購入の機会が少なかったため。
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