2023 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍特異的集積性を示すペプチド-DDSによる前立腺癌治療への応用
Project/Area Number |
23K15776
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
久保田 優花 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (30866926)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | ペプチド薬物複合体 / ドラッグデリバリー / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
タキサン系の抗癌剤の登場により、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)治療は大きく改善したが、mCRPC治療の軸となる抗癌剤が抱える弱点は、細胞毒性の強い薬を全身投与する点にある。副作用を減らし高い抗腫瘍効果を得るためには高濃度の抗癌剤を腫瘍のみに到達させる必要がある。アネキシンA1(ANXA1)は固形腫瘍の血管内皮特異分子であり我々は腫瘍血管のANXA1に特異的に結合するペプチド(AnA1ペプチド)と抗癌剤 とのペプチド-薬物複合体(PDC)を作成し、腫瘍血管内皮細胞を標的とした癌特異的化学療法を開発した。ANXA1は前立腺癌の腫瘍血管にも発現しており、mCRPCの化学療法へ応用できる可能性がある。本研究では、AnA1ペプチドと抗癌剤のペプチド-薬物複合体(PDC)により低副作用かつ高効果なmCRPCの癌治療法への応用を目指すことを目的とする。2023年度は、腫瘍血管特異的抗癌剤vcMMAE-AnA1の開発(2023~2024)EMCSリンカーを用いて、ANXA1結合ペプチドのN末端側にvcMMAEをマレイミド基を介して架橋し、vcMMAE-AnA1ペプチドを作成した。ANXA1陽性ヒト前立腺瘍細胞株(ANXA1+ PC3細胞)に対し、vcMMAE単独とvcMMAE-AnA1を同等薬効量で投与し、増殖能、アポトーシスなどを比較し効果を確認した。vcMMAE-AnA1療法の有効性をANXA1陽性PC3細胞を播種した担癌マウスモデルで検討した結果、vcMMAE単独投与と比較し、vcMMAE-AnA1で白血球減少が抑えられ、腫瘍組織の中の血管密度の減少および壊死を伴う顕著な壊死効果が認められ、副作用低減と優れた抗腫瘍効果を認めた。今後血管内皮細胞対する殺細胞効果の検証とともに、本結果の再現性を確認するために更に研究を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度計画していた薬剤合成、培養細胞に対する検討を予定通り実施し、想定していた結果が得られた。また来年度以降に計画していた動物実験の一部検討も実施し、良好結果が得られたことから、当初の計画以上に成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まだ、検討できていない血管内皮細胞対する殺細胞効果の検証とともに、すでに得られた動物実験結果の再現性を確認するために更に研究を進める。
|
Causes of Carryover |
当初の計画以上に研究が進んだため、当初計画していたよりも抗癌剤の購入量が少なく済んだため。次年度に再現性を確認する実験を実施するため、その抗癌剤購入費に充てる。
|