2023 Fiscal Year Research-status Report
子宮体癌におけるPARP阻害剤が抗腫瘍免疫に与える影響の解明
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23K15812
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三瀬 有香 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (00973760)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / PARP阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、難治性子宮体癌におけるPARP阻害剤での抗腫瘍免疫を検討した。子宮体癌に対し従来の化学療法であるTC療法(パクリタキセルおよびカルボプラチン併用療法)に免疫チェックポイント阻害剤とPARP阻害剤を使用する第3相臨床試験が現在行われており、中間報告にてPARP阻害剤の有用性が示されている。しかしPARP阻害剤自体が免疫チェックポイント阻害剤の効果にどのような影響を及ぼすか、併用することで起こりうるメカニズムに関して一切言及されていない。今回、私たちは難治性子宮体癌に対しPARP阻害剤がどのように腫瘍免疫環境に影響を与えるか、マウスモデルを用いて検証した。 免疫正常マウスを用いて同所性のマウス腫瘍モデルを作成し、実際にPARP阻害剤を投与し、腫瘍増生を確認した。同所性マウスモデルでは、子宮内以外に腹膜播種を作った。皮下腫瘍モデルではPARP阻害剤の効果はやや縮小を認めるものの有意差にかけていた。しかし同所性モデルでは、day14ではPARP阻害剤の効果を認め、子宮内腫瘍自体は抑制されないものの、腹膜播種は治療群でほとんど認めなかった。しかしさらにday21まで治療を継続したところ、コントロール群と治療群で腫瘍増生に差は認めなかった。以上のことから、PARP阻害剤は一時的に治療効果を認めるものの、その後抵抗性を獲得することが分かった。 上記からday14の治療効果を呈する段階とday21の治療効果を消失した段階の2点においてコントロール群および治療群のマウス腫瘍をサンプリングし、RNAseqを施行した。現在そのRNAseqを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初皮下腫瘍モデルを用いて検証を行っていたが、皮下腫瘍モデルではマウス腫瘍の石灰化が強く、免疫状態を検索するにはサンプルとして不適格であった。そのため同所性マウスモデルに切り替え、石灰化が生じるタイミングの前にサンプリングすることが可能になるまで検証を行った結果、時間を有した。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAseqのデータから、治療効果を呈した状況から効果を逸した状況までの間に遺伝子発現の変化を検討する。
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Causes of Carryover |
RNAseqの結果を踏まえた検証実験を本年度に行う予定であったものの、マウス実験に時間がかかったため、次年度に持ち越した。
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