2023 Fiscal Year Research-status Report
卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるホルモン療法依存性悪性転化関連因子の解明
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23K15821
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 雅也 順天堂大学, 医学部, 助教 (40899952)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / ホルモン依存性 / 悪性転化 / バイオマーカー / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で対象とする卵巣癌は、背景に卵巣子宮内膜症を有する。その発癌機序として、卵巣子宮内膜症が発生母地となる可能性が示唆されている。そこで内膜症と卵巣癌の関連性をメチル化に着目し検証した。卵巣と子宮に同時に腫瘍を有する症例において、転移性癌と重複癌におけるそれぞれのメチル化パターンを検証した。 この結果、重複癌に対し、転移性癌では同じ腫瘍を母体とするため高い類似性を認めた。さらに卵巣腫瘍背景に子宮内膜症病変が存在する症例では、転移性癌であっても予後は比較的良好でかつ高いクローン性を有していた。この結果から、卵巣内の異所性子宮内膜の存在が卵巣癌の発生母地となった可能性が示唆され、異所性内膜を起源とした卵巣癌であれば、子宮内膜と類似したメチル化パターンが検出される可能性が示唆された。 以上の結果から、研究開始時に想定していた血液を用いた発癌リスクマーカーの検出に加えて、子宮内膜組織を用いた卵巣癌発癌リスク評価を追加検証項目として設定した。 そこで卵巣癌検体と子宮内膜検体のペア検体の収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣癌と子宮体癌のメチル化パターンを比較し、卵巣癌の発癌母地としての異所性内膜の可能性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
内膜症を背景に有する卵巣癌検体と子宮内膜検体のペア検体を用いて、メチル化パターンの類似性を検証する。 また、癌を伴わない卵巣子宮内膜症において、ホルモン治療群と未治療群で同様の発現プロファイルの変化が生じるかを追加検証し、真に発癌に関連する遺伝子発現のパターンを検証する。
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Causes of Carryover |
ホルモン治療中の卵巣癌発癌は極めて稀であるため、年度内は追加症例に対するシーケンスの実施に至らなかった。このため、年度内は追加検証項目の検討を実施し、本年度は追加解析を実施する。
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