2023 Fiscal Year Research-status Report
Fetal Immunity and Intestinal Programming Mechanisms Affected by Placental Dysfunction
Project/Area Number |
23K15828
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市瀬 茉里 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60954849)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胎児発育不全 / 免疫プログラミング / 消化管機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児発育不全(fetal growth restriction: FGR)の多くは、妊娠高血圧腎症(preeclampsia: PE)を母体側因子に含む胎盤機能不全が原因となっている。本研究は、胎盤機能不全が胎児免疫系と腸管に直接的に与える影響について、その分子学的機構を解明することを目的としている。 FGRを来たす子宮内環境が胎児の免疫系に与える影響を解析するために、FGR症例から採取した臍帯血単核球検体と、そのコントロールとしてFGRを呈さない早産と正期産児の臍帯血単核球検体を用いて、単一細胞解析であるマスサイトメトリーを実施した。バーコードを付与したのち、CD3ビーズにより分画をわけ、CD3陽性細胞(T細胞解析)とCD3陰性細胞(nonT細胞分画)に分けてマスサイトメトリーを用いて解析を行った。R5年度は、T細胞の解析とnonT細胞の解析を実施した。その結果、CD4T細胞、CD8T細胞ともに、FGR症例でのNaive分画は、早産コントロール、正期産コントロールに比べて少なかった。一方、Effector CD4 T細胞は、FGR症例で他のグループに比べて多かった。制御性T細胞についても同様に、Naive分画が少なく、Effector Tregが多い傾向にあった。NK細胞についても同様の傾向をみとめ、FGR症例では、Term NK細胞が多いことが特徴であった。 今後は、臍帯血単核球を用いてメタボローム解析を行い、上記のような分化状態の変化が生じる機序についても検討を行う。また、FGRマウスモデルを用いて、腸管免疫系の解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト臍帯血を用いた単一細胞解析は、検体収集を予定通り行うことができ、検査・解析を予定通りに行い、順調に成果を上げている。 胎児消化管局所での免疫細胞解析についても、マウスモデルはすでに確立しており、今後展開していく準備状況としては良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト臍帯血を用いた単一細胞解析については、R5年度は細胞分画についてFGRとコントロールの違いを検証した。R6年度は、メタボローム解析を行い、細胞分画の違いをもたらす分子学的機序をさらに検討していく予定である。 臓器局所での免疫細胞については、ヒトでの検証は困難であることから、研究室で既に確立しているFGRマウスモデルを用いる予定である。脾臓から採取した免疫細胞と、腸管局所の免疫細胞の両方について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
臍帯血単核球処理に必要な試薬・器材については、研究室に保管してある物を優先的に使用することで、新たな購入を軽減することができた。マウスモデルについては、FGR腸管機能解析を目的とする科研費スタートアップ支援と共通する部分については、本研究費から出資しなくとも実験が可能であった。
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Research Products
(6 results)