2023 Fiscal Year Research-status Report
胎児発育不全に対するナノ粒子を用いた神経学的後遺症克服のための新たな治療戦略
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23K15833
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
林 香里 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (70569251)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 胎児発育不全 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児発育不全とは、子宮内で胎児の発育が何らかの原因により障害され妊娠週数相当の発育が出来なくなった状態で、胎盤機能低下に起因した慢性的な低酸素血症により、死亡や神経学的後遺症の罹患率が高い。近年、胎児発育不全児では脳で酸化ストレスが亢進していることが報告されており、本申請者は胎児発育不全を認める母体に抗酸化物質を投与することにより、胎児発育不全児に生じる脳障害を抑制・改善できないかと考えた。滋賀医科大学産科学婦人科学講座では以前からナノ粒子に関する研究を行っており、中でもポリグリセロール修飾した超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION-PG)は抗酸化作用・分散性・ステルス性に優れていることを見出している。本研究では子宮卵巣動脈の虚血再灌流によるラット胎児発育不全モデルにSPION-PGを投与し胎仔脳のDNA損傷やアポトーシスを評価することにより、SPION-PGによる脳保護効果を検証する。そして、最終的には胎児発育不全児にSPION-PGを投与することにより、胎児発育不全児の死亡や神経学的後遺症を克服することを目的とした。 2023年度はまず、神経細胞モデルを用いてSPION-PGの脳保護効果についてのin vitro検証を行った。神経細胞モデルとしてラット由来神経細胞株PC12を使用した。PC12に対し、過酸化水素(H2O2)を24時間処理し酸化ストレスによる細胞死誘導を行った。SPION-PGを24時間処理した後、Cell Counting Kit-FとMTT法により細胞生存率について検証し、SPION-PGの神経保護効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はまず、神経細胞モデルを用いてSPION-PGの脳保護効果についてのin vitro検証を行い、予定通り実行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、子宮卵巣動脈虚血再灌流による胎児発育不全モデルを作製し、SPION-PGによる脳保護効果をin vivoで検証する。本研究によりSPION-PGを用いた胎児発育不全児に対する新たな脳保護療法を確立することを目指す。
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Causes of Carryover |
PC12細胞株の増殖効率が想定より高く、細胞株購入額に余剰が生じた。
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