2023 Fiscal Year Research-status Report
黄体化に向かう顆粒膜細胞に対する卵丘細胞の役割;シングルセルRNA-seq解析から
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23K15838
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白蓋 雄一郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00845050)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 黄体化 / 顆粒膜細胞 / 卵丘細胞 / シングルセル解析 / インタラクトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣ではLHサージを契機に、卵胞内の顆粒膜細胞の黄体化(分化)によるプロゲステロン産生能の獲得、卵成熟、そして排卵という劇的な変化がおこる。研究代表者はRNA-seqを用いてLHサージ後の顆粒膜細胞におけるゲノムワイドな遺伝子発現を調べたところ、約9000もの遺伝子の発現が変化し、黄体化過程にある顆粒膜細胞の機能的変化に寄与することを見出した。この細胞機能の変化は非常に多様であるので、LH刺激の下流には様々なシグナルが存在し、そのシグナルは顆粒膜細胞自身のオートクライン作用によって誘導されるのみならず、近接する卵丘細胞のパラクライン作用によっても誘導されると考えた。本研究では、近年報告された卵巣シングルセルRNA-seqデータを用いて独自にin silico解析を行い、壁顆粒膜細胞と卵丘細胞のインタラクトーム解析を行うことにより、黄体化に向かう顆粒膜細胞に対する卵丘細胞の役割を明らかにすることを目的とした。今年度は卵巣シングルセルRNA-seqデータを用いて、壁顆粒膜細胞と卵丘細胞のインタラクトーム解析を行った。その結果、LHサージ後の卵胞内において、卵丘細胞から壁顆粒膜細胞への作用、壁顆粒膜細胞から卵丘細胞への作用、両細胞間の相互作用を同定した。これらのインタラクションの中には、これまでに報告の無かったパスウェイ(Ephrins-Ephsパスウェイ、Wnt-Lrp6パスウェイ、TGFβ-TGFBRパスウェイ)が含まれており、LHサージ後の壁顆粒膜細胞におけるステロイド合成や卵丘細胞の膨化に寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣シングルセルRNA-seqデータを用いたインタラクトーム解析によって、LHサージ後の壁顆粒膜細胞-卵丘細胞間におこる細胞間相互作用を同定することができ、それぞれのリガンド・レセプターのmRNA発現をreal time RT-qPCRによって確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
in silico解析により壁顆粒膜細胞-卵丘細胞間におこる細胞間相互作用が同定されたので、計画に沿って検証実験を進める。壁顆粒膜細胞・卵丘細胞の共培養系を用いて、壁顆粒膜細胞-卵丘細胞間におこる細胞間相互作用検証する。
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Causes of Carryover |
本年度の実験内容に概ね変更はなかったが、当初予定していた学会参加が中止となったこと、および実験試薬の変更により、未使用額が生じた。この未使用額については次年度の実験試薬の購入に充てる。
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