2023 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部分葉状頸管腺過形成の悪性化リスク評価のための網羅的分子遺伝学的解析研究
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23K15839
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
川上 史 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40565678)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / HPV非依存性 / 空間トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス (Human papillomavirus: HPV) 非依存性子宮頸部腺癌の早期診断および患者管理のための最適なアルゴリズムを提唱するために、その前駆病変である葉状頸管腺過形成 (lobular endocervical glandular hyperplasia: LEGH)の遺伝子発現状況の全体像を調べ、病態に関する理解を深めること、その中から癌に進展するリスクを評価できる指標をみつけるための検討を行った。具体的には、異型度の様々なLEGH、およびLEGHに浸潤癌を伴った症例2例を選び、組織切片を貼り付けたプレパラート上で領域ごとの遺伝子の発現状況を検討する空間トランスクリプトーム解析を行った。遺伝子の発現状況の違いからグループ分けしたデータと、LEGHの異型や併存する浸潤癌など隣り合う異なった組織像を示す領域を照らし合わせ、LEGHの上皮内癌への変化や、より高悪性度の高い浸潤癌への進展に重要な遺伝子の変化を詳しく調べている。これまでの検討から、LEGHの細胞異型によりmRNA レベルで発現の亢進がみられ、それから作られるタンパク質が免疫組織化学と呼ばれる染色法により可視化できる遺伝子が複数見いだされている。そのうちのいくつかは、他臓器の癌において悪性度にかかわる因子として報告があり、LEGHやHPV非依存性子宮頸部腺癌の病理組織標本を用いたタンパクの発現の検討を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LEGH2例の空間オミクス解析を行い、臨床的意義のある変化を抽出している段階で、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
LEGHの異型や併存する浸潤癌など隣り合う異なった組織像を示す領域による遺伝子発現の異なるものの抽出を完遂し、LEGHの癌化リスクの層別化に役立つマーカーを検討する。検討結果について学会での発表や投稿を準備する。
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Causes of Carryover |
予定していた外注検査額の変動により予定よりも安価に実施できた。web会議の活用による移動を抑制できたため旅費を節約できた。検討症例の追加、学会発表などで、より発展的に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)