2023 Fiscal Year Research-status Report
シリコン製剤を用いた内耳自己免疫病の新規治療法開発
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23K15862
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 祥太郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員 (10824740)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 内耳自己免疫病 / 新規抗酸化剤 / 前庭動眼反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
内耳自己免疫病の治療には、免疫抑制剤などが使用される。しかし、免疫抑制剤は副作用が強く、このような慢性疾患の場合、長期投与が難しくなる事が多々ある。それゆえに我々は、長期投与でも副作用の報告の無い、抗酸化または抗炎症効果をもつ水素が免疫抑制剤の代わりになりうると考えた。当グループで開発したシリコン製剤は経口投与によって持続的に腸管で多くの水素を発生することができる。 Ⅱ型コラーゲン感作自己免疫性疾患関節リウマチモデルマウスは、内耳障害も併発することから内耳自己免疫病との関連性が示唆されている。我々は、このモデルマウスが我々の独自に開発した平衡機能検査装置を用いて半規管機能を調べたところ、半規管機能が低下している事がわかった。さらに感覚受容器である半規管膨大部稜の感覚有毛細胞周囲にⅡ型コラーゲンが発現し、そのⅡ型コラーゲンに対する免疫感作により感覚有毛細胞の破壊が生じていることも判明した。 このモデルマウスに対して、シリコン製剤の長期投与が内耳自己免疫病の症状の進行や組織破壊を抑制する事が可能か実験を行った。 モデルマウスに対して58週齢までシリコン製剤を投与し、その時点での半規管機能とMRIを用いた内耳内リンパ腔面積の評価を行った。半規管機能はシリコン製剤餌投与群とコントロール餌投与群で差を認めなかった。MRIによる内耳内リンパ腔面積もシリコン製剤投与群とコントロール餌投与群で差を認めなかった。ただ両群ともに19週齢で評価した時58週齢では内リンパ腔面積の増大を認めた。 以上の結果よりシリコン製剤単独投与による抗炎症効果では有意な効果は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半規管機能評価、MRIによる内リンパ腔面積の評価は終了した。今後、組織評価を予定しており、組織の準備も出来ており順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
長期間のシリコン製剤投与による症状への明らかな差は認めなかったが、組織構造は変化している可能性が考えられる。モデルマウスから採取した組織を用いて、蝸牛、半規管、蝸牛神経や前庭神経への影響を評価し、シリコン製剤の効果を確認していく予定である
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Causes of Carryover |
予定していたよりも物品の購入が最小限にすんだ。 組織評価に使用する薬剤などの購入に使用する予定である。
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