2023 Fiscal Year Research-status Report
プレボテラ属細菌による、慢性副鼻腔炎の2型炎症抑制の可能性と、治療薬への応用
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23K15870
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡 愛子 国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (40865234)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | プレボテラ属細菌 / IL-10 / 抗炎症作用 / 慢性副鼻腔炎 / 鼻茸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の先行研究で、アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法において口腔内細菌叢に存在するプレボテラ属細菌が単球由来細胞によるIL-10(制御性サイトカイン)産生を誘導し、治療効果を増強する可能性を報告した(Oka A, Okano M, et al. Allergy 76: 2617-2620, 2021)。本研究では慢性副鼻腔炎においてもプレボテラ属細菌がIL-10産生を誘導して炎症を抑制する可能性を検討する。 初年度は単球由来細胞をプレボテラ属細菌で刺激し、プレボテラ濃度依存的なIL-10産生誘導を確認した。ただし他の細菌(大腸菌)でもIL-10産生誘導が確認できたため、抗菌薬(ポリミキシンB)を併用することによりIL-10産生誘導効果を阻害できるかを検討した。抗菌薬の併用により、大腸菌刺激ではIL-10産生が阻害されたが、プレボテラ属刺激ではIL-10産生が増強した(論文受理、ahead of print)。プレボテラ属細菌は特殊なIL-10誘導機序を持つ可能性があり、治療応用を目標としてIL-10産生機序解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレボテラ属細菌刺激により単球由来細胞(THP-1細胞)からIL-10産生誘導が確認されたこと、抗菌薬併用実験により他の細菌とのIL-10産生誘導機序の違いが示唆されたことを論文としてまとめて投稿し、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-10産生誘導機序解明のため、作用機序の異なる抗菌薬を使用して実験を行う。また慢性副鼻腔炎に対する手術で得られた鼻茸を使用し、プレボテラ属細菌による刺激で鼻茸細胞からIL-10産生誘導が見られるか確認し、IL-10産生量と臨床所見(CTスコアや再発)との比較を行う。 研究代表者が2023年4月から留学開始となり、留学先ではプレボテラ属細菌を含む鼻腔細菌叢解析と臨床所見との比較を行う予定である。本年度(2024年度)よりサンプル採取を開始予定。
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Causes of Carryover |
研究代表者が2023年4月から留学開始となったため、初年度はデータをまとめて論文投稿することが活動の中心となった。このため予定よりも使用額が少なく、初年度研究費残額を次年度以降繰り越しとした。
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