2023 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍内低酸素環境が頭頸部癌に対する光免疫療法にもたらす影響の検討
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23K15881
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 崇祥 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (30581037)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 光免疫療法 / 低酸素環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
光免疫療法の特徴として、低酸素状態における高い薬剤活性と赤色光照射“直後”の腫瘍細胞の崩壊が挙げられる。一般にがんは低酸素状態になりやすく、頭頸部扁平上皮癌においても低酸素環境下で放射線療法や化学療法に対して抵抗性を示すことが知られている(Roma-Rodrigues, Int. J. Mol. Sci. 2019)。光免疫療法の鍵となるAPCの薬剤活性は低酸素環境で抑制されず、むしろ促進され るため(Inanami, ChemPhotoChem, 2022)、光免疫療法は治療性抵抗を示す症例に対して福音となる可能性を秘めている。一方で、腫瘍崩壊後の二次的な腫瘍免疫誘導において低酸素環境は不利に働く可能性もあり、実際に体内でAPCの疎水化・細胞破壊・腫瘍免疫の賦活化に低酸素環境がどのような影響を与えるかは不明である。 本研究では光免疫療法の有効性における低酸素の影響を検討する。また有効性に関する酸素環境の関与が明らかとなった場合、腫瘍崩壊後(≒赤色光照射直後)に酸素環境変化を誘導することで、薬剤活性促進と腫瘍免疫誘導の両立が可能となる。本研究では腫瘍内酸素環境をターゲットにした光免疫療法の補助治療の開発・発見を目指す。 ・2023年度(令和5年度)研究進捗状況の報告 本研究では腫瘍の低酸素環境が光免疫療法の有効性に与える影響を検討することを目的としているが、その治療特性上、病変への適切な赤色光照射が重要となる。したがって本研究において、まずはじめに正確かつ高精度の照射を可能にするシステムが不可欠と考え、治療計画シミュレーションソフトウェアの開発を行なった(Suzuki T, Int J Clin Oncol, 2024)。また症例の蓄積・臨床検体の取得を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実臨床での治療を通して順調な症例の蓄積・臨床検体の取得ができている。正確かつ高精度の赤色光照射システムの開発を達成し、臨床検体・細胞株・動物モデルを用いた実験の準備がほぼ終えられている。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の蓄積・臨床検体の取得、臨床検体を用いた低酸素環境と腫瘍免疫の関連を検討する(酸素環境の半定量化、樹状細胞のマーカー(CD80, CD86, HLA-DR, CD40)、TLR4活性化マーカー(IKK, IKB, NF-kB)、IL1b, IL-12, IL-17などの評価)。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(151,968円):本科研で参加予定だった一部の学会について、旅費を別財源で賄うことができたため、使用額が予定より少なくなり、次年度使用額が発生した。 次年度使用計画:試薬の購入(蛍光免疫染色法(Pimonidazole)・Western blotting法・microfluidic PCR・multiplex ELISA Array(CD80, CD86, HLA-DR, CD40, IKK, IKB, NF-kB, IL1b, IL-12, IL-17)・学会発表・論文投稿費・解析用PCの購入
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Research Products
(14 results)