2023 Fiscal Year Research-status Report
Explication of mechanism of exosome-formation on nasopharyngeal carcinoma through protein farnesylation
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23K15883
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 英士 金沢大学, 附属病院, 助教 (00632530)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 上咽頭癌 / ファルネシル化 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の転移には、エクソソームと呼ばれる細胞外小胞が重要な役割を果たしていることが、近年分かってきた。ファルネシル化はタンパクの脂質修飾の一種であるが、その阻害剤であるTipifarnibの、HRAS変異陽性頭頸部癌に対する有用性が2021年に報告された。上咽頭癌モデルにおいても、LMP1のエクソソーム分泌機構に、ubiquitin C-terminal hydrolase L1 (UCH-L1)のファルネシル化が関与することが報告されており、上咽頭癌への応用も期待できる。本研究は、タンパクのファルネシル化がエクソソームの形成に重要な役割を果たすという仮説の元、エクソソームの形成メカニズム、特に膜タンパクのエクソソームへの分泌メカニズムへの、ファルネシル化の関与を解明することを目的としている。 本年度は、培養細胞系を用いた実験によりファルネシル化阻害剤により細胞からのエクソソーム分泌量が減少することを示した。このことはエクソソーム形成メカニズムにファルネシル化が重要な役割を果たしていることを示唆している。さらには、臨床患者血清からのエクソソーム検出・PD-L1の検出を行った。現状は少数の症例であるが、PD-L1陽性エクソソームの検出に成功した。また、ファルネシル化阻害剤の有用性が示されているHRAS変異陽性頭頸部癌の検出法の開発も行った。HRAS変異をSanger法を用いて検出できることが示された。これにより、新たな観点からのファルネシル化阻害剤の有用性の探索も可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において、培養細胞系を用いた実験によりファルネシル化阻害剤が細胞からのエクソソーム分泌量に与える影響について、評価を行うことが出来た。 また、少数の症例ではあるが、臨床患者血清からのエクソソーム検出・PD-L1の検出に成功した。 さらには、頭頸部癌の臨床検体から、HRAS変異をSanger法を用いた検出にも成功した。 以上のような結果が得られており、現時点では概ね順調に進展しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、培養細胞系では、エクソソーム形成メカニズムにおけるタンパク輸送機構に焦点をあて、詳細な解析を行うことを予定している。さらには培養細胞系で得られた結果を実験動物や臨床検体での解析に展開することも予定している。 臨床検体での解析でもこれまで一定の成果を得られているが、現段階では目的としている遺伝子や物質の検出に留まっている。これを患者予後などとの相関を併せて評価・解析し、実際の治療応用に向けた探索を予定している。
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Causes of Carryover |
物品類の価格改訂や為替変動等により、納入価が予定していた金額と変更となったため、若干の次年度使用額が生じた。 次年度使用額は少額であり次年度以降の使用計画に大きな変更はないが、物価高騰による納入価の上昇が見込まれるため、そのための上積みとして使用予定である。
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[Journal Article] Peritumoral SPARC expression induced by exosomes from nasopharyngeal carcinoma infected Epstein‐Barr virus: A poor prognostic marker2023
Author(s)
Dochi Hirotomo, Kondo Satoru, Komura Shigetaka, Moriyama‐Kita Makiko, Komori Takeshi, Nanbo Asuka, Sakaguchi Miako, Fukuyo Masaki, Hamabe‐Horiike Toshihide, Tanaka Mariko, Mizokami Harue, Kano Makoto, Kitagawa Yuki, Kobayashi Eiji, Hirai Nobuyuki, Ueno Takayoshi, Nakanishi Yosuke, et. al.
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Journal Title
International Journal of Cancer
Volume: 154
Pages: 895~911
DOI
Peer Reviewed
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