2023 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性鼻副鼻腔炎におけるTh2型tissue resident memory T細胞の役割
Project/Area Number |
23K15886
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松本 晃治 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40750138)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Th2 TRM / 好酸球性鼻副鼻腔炎 / 2型炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎は、局所で持続的に2型炎症が生じており、その2型炎症にはILC2やTh2細胞が関与している。近年長期間局所にとどまり、2型炎症を強く誘導するTh2型 tissue resident memory T細胞(Th2 TRM)の存在が明らかとなり、好酸球性鼻副鼻腔炎においてもその関与が疑われている。近年Th2 TRMが国際的に注目され、CD69がtissue resident memory T細胞のマーカーであることが証明されたが、好酸球性鼻副鼻腔炎におけるTh2 TRMの存在は明らかなになっていない。 そこで好酸球性鼻副鼻腔炎患者の鼻茸を採取し、まず鼻茸からのシングルセルを作成する方法を確立した。作成したシングルセルの一部をフローサイトメトリーで解析し、CD4陽性CD45RA陰性CRTH2陽性CD69陽性のTh2 TRMの存在を確認した。また好酸球性鼻副鼻腔炎の鼻茸中には、コントロールの患者や非好酸球性副鼻腔炎患者の鈎状突起と比べてTh2 TRMが多く存在することを明らかにした。好酸球性鼻副鼻腔炎患者の鼻茸から作成したシングルセルはすでに10例以上集まっており、コントロールの患者や非好酸球性鼻副鼻腔炎患者の鈎状突起から作成したシングルセルも現在5例ずつ集まっている。今後はこれらを順次フローサイトメトリーで解析し、またフローサイトメトリーによるソーティングを行い、Th2 TRMの役割やその分化、誘導機構についても検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
好酸球性鼻副鼻腔炎の鼻茸からシングルセルを作成する際、好酸球性鼻副鼻腔炎において非常に粘稠な鼻汁や鼻茸中の組織により、採取できる細胞数が安定しないなどの問題があるが、すでにシングルセルの作成方法を確立している。 また好酸球性鼻副鼻腔炎患者の鼻茸や、コントロール、非好酸球性副鼻腔炎患者の鈎状突起の採取や、シングルセル作成数も順調に積み重ねている。 さらに好酸球性鼻副鼻腔炎におけるTh2 TRM細胞の存在を証明し、その数がコントロールや非好酸球性副鼻腔炎と比べて多い事を明らかにしていることから、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究対象者の鼻茸、鈎状突起粘膜を回収し、シングルセルを作成してサンプル数を蓄積する。 すでに作成したシングルセル、また今後作成するシングルセルをフローサイトメトリーで解析し、Th2 TRMの存在についてサンプル数を増やし、その特徴についても検討する。 シングルセルからフローサイトメトリーを用いてTh2 TRMをソーティングし、サイトカイン刺激などを行うことにより、Th2 TRMの働きを検討する。さらにソーティングして得られたTh2 TRMからRNAを抽出し、網羅的に解析することで、その特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
症例の蓄積のために時間を要したため、解析が想定よりも遅れたため次年度使用額が生じたが、現在蓄積されてきているため、今後順次解析を行う予定である。
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