2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K15948
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 顕光 東北大学, 大学病院, 助教 (90623603)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マグネシウム / 不溶性塩 / 出血環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
β-TCP含有マグネシウム合金の腐食挙動のメカニズムを解明するに先立ち、マグネシウムの分解挙動を把握する必要性が生じたため、予備的に腐食挙動の試験を開始した。これまで腐食のメカニズムはin vitroとin vivoではデータに解離があることが多かったが、臨床応用をする際に影響が避けられない出血による影響が十分に検討されていなかったため、出血の影響を確認した。ラットの大腿骨で出血モデルを作成し、マグネシウム試料を埋植し解明を行った。 出血はマグネシウムの腐食を促進すること分かった。また、腐食による不溶性塩がマグネシウム試料の表面を覆うにつれて、経時的に腐食は抑制されたが、出血がない環境と比べて腐食速度が速いことが確認できた。さらに、SEM-EDX、ICP-MS、ラマン分析により出血環境下では埋植初期に生じる不溶性塩の組成や構造が異なることが確認され、腐食速度にも影響を与えていることが確認できた。出血環境下でのpHの変化やイオン拡散速度が異なることで、析出が異なることが示唆された。 また、高解像度マイクロCTにより、血液にマグネシウムを浸漬した場合に、埋植1日までにガス空隙を形成することが確認され、経時的に縮小することが確認された。これは、臨床応用時にマグネシウム製の骨固定材の周囲に出血がある場合には腐食の促進とともにガス空隙が生じやすく、骨壊死などの合併症のリスクが高くなる可能性を意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生体内に埋植した場合の腐食挙動には不明な点が多く、これまで出血の影響による検討がほとんどなされていなかったため、前提として生体内に埋植した場合の腐食挙動を十分に解明する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのマグネシウムの腐食挙動の知見から、具体的にβ-TCP含有マグネシウムのネイルを埋植することで、腐食挙動の解明を進める。また、β-TCP含有濃度を変化させることで、どのような腐食挙動の違いや骨形成を誘導するかを確認する。 埋植はウサギを予定し、中期的な腐食挙動の解明を行う。マイクロCTの撮影によるガス形成やネイルの吸収過程を分析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額には、今年度の研究を効率的に進めた事に伴い発生した未使用額であり、2023年度請求額と合わせ、2024年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)