2023 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原菌Prevotella intermediaのDNA分解酵素の病原性解析
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23K15980
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
哲翁 ふみ 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80875899)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Prevotella intermedia / Periodontal disease / DNase / Biofilm / NETs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はPr. intermediaが二つ保有する分泌性のDNA分解酵素遺伝子の変異株を作製し、Pr. intermedia自体のバイオフィルム形成能、プラーク中の他の歯周病原菌への影響、NETsの回避能、について明らかにすることである。
我々は二種類のDNase欠損株(NucA欠損株、NucD欠損株)の作製に成功した。作製した変異株を用い、1)in vitroやin vivoでのDNase活性の測定、2)作製した変異株のpH依存性(培地の濃度pH5.0~pH8.0)の検討、3)本菌自身へのバイオフィルム作製への影響、4)Fusobacterium nucleatumとの共凝集の検討、を行った。
結果;1)菌体の上清を用いたin vitro実験系では、NucD欠損株はE-coli plasmidの分解を全く起こさなかった。in vivo実験系では、NucD欠損株はDNA agar plateの分解を強力に引き起こした。これらの結果より、NucA、NucDともに本菌のDNase活性を担っており、その効果は実験により異なることが示唆された。2)NucA欠損株、NucD欠損株ともにpH依存性があることが確認できた。この結果は以前、リコンビナントタンパクで報告された結果と一致していた。3)wildと比較して、NucA欠損株、NucD欠損株ともにバイオフィルム形成能が上昇した。このことから、自身のバイオフィルム調節に関与していることが示唆された。4)F. nucleatumとPr. intermediaは共凝集を行うことが報告されているが、NucD欠損株では共凝集は起こらなかった。このことから、凝集にはNucDの関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NucD欠損株、NucA欠損株の作製に成功し、DNA分解酵素の病因解析を行っている。これまでの実験で、『研究実績の概要』に記したことがわかった。当初から本研究の目的としているNETsの回避能については準備段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)NETsへの影響について 宿主の感染に対する第一防衛線である好中球は、NETsを含むさまざまな戦略を使用して侵入病原体を除去する。細菌のNucleaseは NETs を分解して NETs による殺傷を回避する。現在では、細胞外Nucleaseによって細菌がこの宿主の抗菌メカニズムを回避できるようになり、病原性が増大することが示されており、Pr. intermediaは強力なDNase活性を示す。また、大腸癌ではNETsが形成され、F.nucleatumはNETsの形成を制御し、血管新生、増殖、転移を制御することで大腸がんの悪性度を高める、との報告もある。Pr. intermediaはF. nucleatumと共凝集を行うため、NETsを介して癌への影響を検討したい。さらに、NETsは破骨細胞の成熟を阻害し、骨吸収を抑制することも報告されているため、破骨細胞への影響についても検討したい。
2)癌への影響について 口腔扁平上皮癌組織中に F. nucleatum と Pr. intermedia の両方が分離され、腺がんにおけるこれら 2 つの細菌の共存が、リンパ節転移と遠隔転移と関連しているとの報告がある。Pr. intermedia の培養上清は、大腸癌細胞の遊走・浸潤を促進するとの報告もある。 Pr. intermediaが共凝集するとして知られている細菌は他にもPorphyromonas gingivalisがあるが、近年口腔扁平上皮癌、大腸癌、膵臓癌のリスク要因であると報告されている。 Pr. intermediaがF. nucleatumやP. gingivalisとの共凝集を通じて、腫瘍の増殖・遊走・浸潤に影響を与える可能性を探索する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたNETsの回避能の検討がまだできていないため。マウスの好中球を使用するため、他研究室の協力を仰いでいるところである。 次年度は、NETsの回避能検討、口腔癌や大腸癌への影響について研究を深めていく。未使用額は、学会発表(第66回歯科基礎医学会学術大会、第67回秋季日本歯周病学会学術大会)や論文作成の経費に充てることとしたい。
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