2023 Fiscal Year Research-status Report
ミティス群レンサ球菌が産生する細胞外小胞と亜鉛メタロプロテアーゼの機能解明
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23K15981
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松本 愛理 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00962424)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / レンサ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌が産生する細胞外小胞 (MV) は,核酸やタンパク質のキャリアーとして働くため,様々な生命現象に関わる.グラム陰性菌の MV について,抗菌薬耐性,栄養素獲得,宿主への炎症惹起などの多岐に渡る作用が報告されている.一方,グラム陽性菌の MV については,近年,その存在が明らかになったばかりであり,十分な検討は行われていない.ヒト口腔内の主要な常在細菌であるミティス群レンサ球菌における MV の産生は,肺炎球菌でのみ報告されており,詳細は不明である.本研究では,ミティス群レンサ球菌が産生する MV を同定し,宿主への作用機序を解明することを目的とする.まず,MV を産生する菌株を選択し,MV の分離精製と含有タンパク質を同定した.続いて,ヒト肺癌細胞株とマクロファージ様に分化させた THP-1 細胞を用いて,MV の培養細胞への作用を検討した.その結果,ミティス群レンサ球菌は一部の株で MV を産生し,粒径は肺炎球菌の MV と類似することが明らかとなった.また,含有タンパク質を LC-MS/MS 解析により同定したところ,肺炎球菌と同様に細胞質成分を多く含む小胞であることや,亜鉛メタロプロテアーゼ,細胞障害性コレステロール依存性細胞溶解毒素などの病原因子を包含していることが確認された.さらに,MV はヒト肺癌細胞株に取り込まれ,マクロファージの炎症性サイトカイン産生量を増加させることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MV の産生確認および含有物質を同定し,ヒト細胞株に対する MV の細胞障害性やサイトカイン産生量の変化を確認した.したがって,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
MV に包含されている亜鉛メタロプロテアーゼと MV に関する解析を継続する.また,MV の細胞障害性やサイトカイン産生量に与える影響について,好中球を用いて検討を行う.さらに,マウスに鼻腔より感染させることで,宿主に与える影響を検討するとともに,レンサ球菌感染に対するワクチンとしての効果を評価する.
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Causes of Carryover |
物品の納品が間に合わなかったため,翌年度の物品費として使用する.
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