2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒト唾液腺オルガノイドを用いたPLAG1遺伝子の解析
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23K15984
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
石田 尚子 昭和大学, 歯学部, 助教 (00882531)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 唾液腺オルガノイド / CRISPR-Cas9 / PLAG1 / 多形腺腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺腫瘍の中で最も発生頻度の高い多形腺腫は良性腫瘍でありながら、しばしば再発や希に悪性化を示すことが知られている。したがって、その生物学的特性の解析は極めて重要な課題とされている。一方、多形腺腫は組織学的に上皮、間葉成分からなる極めて多彩な像を示すため、その起源が単一細胞なのか、あるいは複数の細胞であるのか、長年探索が続けられてきたが、いまだ確定的な報告はなされていない。このことから、本研究の目的は、多形腺腫の起源となる細胞を同定することにある。申請者らはこれまでマウスを用いて唾液腺の構成細胞である腺上皮細胞および筋上皮細胞をそれぞれ単離する方法を確立し、筋上皮細胞がin vitroにおいて腺上皮への分化をも示す多分化能を獲得することを明らかにしてきた。そこで、本研究では筋上皮細胞が多形腺腫の起源となる細胞と仮定し、その可能性を検証する。具体的には、申請者らのグループが最近開発したヒト唾液腺オルガノイドを用いて、筋上皮細胞特異的に多形腺腫関連遺伝子であるPLAG1を過剰発現させ、筋上皮細胞の腫瘍原性について解析を行う。 本年度は、筋上皮細胞特異的にPLAG1を過剰発現させるベクターの構築を行なった。MYH11は筋上皮細胞のマーカーであり、そのプロモーター下にPLAG1のOpen Reading Frameを挿入したplasmidを作成し、ヒトiPS細胞へ導入した。また、薬剤誘導により、筋上皮細胞でPLAG1の過剰発現をさせるため、CRISPR-dCas activationシステムの構築を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトiPS細胞へのplasmid導入効率が低く、目的配列を有する細胞の樹立が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
plasmid導入細胞のサブクローニングを限界希釈法により行う。PCRによるジェノタイピング後に、サンガー法等のゲノムシークエンスによる配列の決定を行う。その後、唾液腺オルガノイドの作製および解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は実験の遅れにより、外部委託を予定していたDNAシークエンスの費用および唾液腺オルガノイド作製に必要な試薬の購入費用が発生しなかった。 次年度はDNAシークエンスおよびオルガノイドの作製を予定している。また、唾液腺オルガノイドは組織学的解析およびヌードマウスへの移植実験による機能評価をするため、解析費用やマウスの購入費用、飼育に掛かる費用が生じる予定である。
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