2023 Fiscal Year Research-status Report
CREB複合体によるKLF5遺伝子発現抑制機構の解明:癌細胞分化の新たな分子的背景の探究
Project/Area Number |
23K15988
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
美原 希美 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (00803264)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | KLF5 / 分化 / 上皮 / ケラチノサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
Kruppel-like factor(KLF)5は上皮細胞の分化制御に重要な転写因子であり、上皮性悪性腫瘍で過剰に発現する。口腔癌細胞にKLF5を過剰発現させると分化形質が阻害されることから、KLF5は癌細胞を脱分化させ、癌進行における重要な因子であると考えられる。本研究では、癌の悪性形質獲得に関わるKLF5遺伝子の抑制的な発現制御機構に着目し、「①KLF5遺伝子の発現抑制機構」と「②KLF5発現制御と細胞分化との関係性」を明確にすることを目的とした。 これまでに申請者はヒトKLF5遺伝子の基本的発現に重要な最小必要領域(minimal essential region、MER)とその上流にあるサイレンサー領域を同定した。また、MERとサイレンサー領域はCREB1を介してインタラクトしていることを明らかにした。そこで、①、②を解明するために以下の通りに研究を進め、結果を得た。 ①:サイレンサー領域には3か所のCREB1結合サイトが存在しており、qChIP解析により、すべての結合サイトでCREB1の結合が確認された。また、KLF5遺伝子の発現を抑制するためには、3か所のCREB1結合サイトがインタクトである必要があることが判明した。 ②:HaCaT(Human keratinocyte cell line)を低濃度もしくは高濃度カルシウム培地で培養することで分化誘導を行い、内在性KLF5の経時的発現変化をウエスタンブロットで解析したところ、いずれのカルシウム濃度でも培養時間の延長に伴いKLF5の発現が減少した。このことから、内在性KLF5の発現抑制にはカルシウム以外の分化誘導因子として細胞密度が関係することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KLF5遺伝子の発現抑制機構の解析について、MER-サイレンサー領域間に介在するCREB1複合体解析に着手するにあたり、サイレンサー領域に存在する3か所のCREB1結合サイトの重要性を明らかにし、その成果は学術論文として発表した。KLF5発現制御と細胞分化との関係性の解析について、当初予定していた実験とは異なる実験が必要となり、現在はその準備段階にある。来年度から重点的に解析する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
KLF5発現制御と細胞分化との関係性について、今回得られた結果を踏まえ、カルシウム以外の分化誘導因子についても解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
細胞分化誘導実験で得られた結果から、当初予定していた解析とは異なる解析が必要になったため余剰額が生じた。余剰分は来年度に繰り越し、KLF5発現制御と細胞分化との関係性解明に向けてのさらなる解析のための消耗品購入等に充当する計画である。
|
Research Products
(3 results)