2023 Fiscal Year Research-status Report
象牙質形成制御メカニズム解明に基づく象牙質-歯髄複合体再生治療の基盤研究
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23K16008
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
原田 晴香 (中里晴香) 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (60962123)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 象牙芽細胞 / 象牙質-歯髄複合体 / Wnt経路 / Hedgehog / FGF / 最初期遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
象牙質の形成・維持を担う象牙芽細胞は、単離培養すると速やかに特異的性質を喪失する。しかしながら、特異的性質を維持できる培養方法が確立されておらず、象牙芽細胞研究、象牙質再生医療研究における大きな障害となっている。そこで本研究は、象牙芽細胞分化に関するさらなる情報伝達メカニズムの解明をするとともに、象牙芽細胞初代培養法を開発し、象牙質-歯髄複合体再生モデルと新規組織再生療法開発の基盤を構築することを目的とした。2023年度は、新生児マウス歯胚から抽出した歯胚間葉系細胞を用いて、象牙芽細胞マーカーを指標に、mRNA発現およびタンパク局在を経時的に評価した。さらに、候補転写因子を発現するレンチウイルスベクターを過剰発現した時の象牙芽細胞の分化誘導を検証した結果、各々の単独投与では効果を認めなかった。一方、FGF4、FGF9、CHIR99021を全て投与すると、著明な象牙芽細胞マーカーの発現上昇を認めた。候補転写因子に加え、FGF4、FGF9、CHIR99021等の因子も同時に過剰発現させ、象牙芽細胞分化における相互作用の検討を行ったところ、有意に象牙芽細胞マーカーの発現が上昇した。結果の検討を行うため、2024年度は株化間葉系幹細胞(Immortalized Stem Cells of Dental Apical Papilla (iSCAP))、iPS細胞、Dmp1-EGFPおよびDmp1-TdTomatoマウス歯胚から抽出した歯胚間葉系細胞を用いて、同様の方法で実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス歯胚より歯胚間葉系細胞を分離することに成功したが、脱分化した歯胚間葉系細胞を効率的に再分化させるための条件検討に当初の予定より時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
iSCAP、iPS細胞を用いて象牙芽細胞の分化誘導を検証する。また、Dmp1-EGFPおよびDmp1-TdTomatoマウス歯胚から抽出した歯胚間葉系細胞を用いて、脱分化象牙芽細胞の再分化誘導を検証する。さらに、Dmp1-EGFPおよびDmp1-TdTomatoマウス象牙芽細胞を培養前後でsingle cell(sc)-RNA-seqにかけ、次世代シークエンス解析後、遺伝子発現プロファイル解析を行い、歯胚間葉系細胞内の細胞の種類と亜集団の同定を行う。単一細胞レベルの遺伝子発現を網羅的に解析し、細胞分化系譜とその間の細胞亜集団動態を包括的に解明する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、薬剤および材料の購入費が少なく済んだため。 また脱分化象牙芽細胞の再分化が効率的に進まず、実験条件の再検討を行う必要が生じたため。
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