2023 Fiscal Year Research-status Report
歯周病と肝細胞がんとの関連を示す新規バイオマーカーの解明
Project/Area Number |
23K16032
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
大野 祐 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (80824151)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 実験的歯周炎 / HCCモデルマウス / ANGPTL2 |
Outline of Annual Research Achievements |
12週齢の NASHモデルマウス(C57BL/6J-NASH)を用い、上顎第二大臼歯に 5-0絹糸を留置することより炎症を惹起させ、実験的歯周炎モデルとする。また炎症状態長期化のため片側2週間絹糸の留置を行い、計4週間歯周炎状態を維持する。なお擬似処置を行ったNASHモデルマウスを対照群とする。実験的歯周炎惹起後、4週間ごとに体重測定、μ-CTを用いた歯槽骨吸収の解析ならびに尾静脈から採血を行う。16週齢にて屠殺後、歯周組織、肝臓を採取し以下の実験に用いた。 凍結包埋にて歯肉における連続切片を作製し、組織染色を用いて炎症性細胞浸潤および ANGPTL2の局在を病理組織学的に評価する。この結果より、歯周炎の惹起による歯周組織局所におけるANGPTL2タンパク産生量を可視化して評価した。パラフィン包埋にて肝臓の組織切片を作成し、HCCの病態確認および肝臓でのANGPTL2の局在を確認するため、肝細胞の線維化、風船化、炎症性細胞浸潤の病理組織学的評価を行った。次に、肝臓組織の一部を gentle MACSを用いてホモジナイズし、total RNA抽出を行い、その後、Reva-tra ACEを用いて、cDNAに逆転写を行った。そして、①ANGPTL2やMMPs、各種炎症性サイトカインの解析を行った。これらの結果より、肝臓局所における ANGPTL2の遺伝子発現の変化を確認するとともに、歯周炎がHCCの病態形成に影響を与える因子を同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的歯周炎を起こしたNASH-HCCモデルマウス(STAMマウス)の解析を行ったところ、実験計画時に想定した実験結果を得られている。また実験手技が確立されており再現性も高く歯周炎を惹起できていることも挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、実験的歯周炎を起こしたモデルマウスにおける肝臓組織の遺伝子解析により、発現が増強した遺伝子とANGTPL2のタンパク質解析(WB法、ELISA法)を行っている。また血液から血清を分離し、その中に含まれているタンパク質をサイトカインアレイにて確認する予定である。 その後、上昇を認めたタンパク質に関しては、当初の予定に加え、リコンビナントタンパク質をモデルマウスに腹腔内投与し、肝臓や歯周組織における各種タンパク質の産生について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2024年3月に購入予定であったSTAMマウスが、購入業者都合により購入することができなかった。それに伴い、想定していた実験試薬(抗体等)代も含めた予算を次年度に繰越し、順次購入手続きを進めていくこととする。 また当初から予定していたタンパク質解析に用いる試薬および消耗品は順次購入していく予定である。
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