2023 Fiscal Year Research-status Report
プロポリスと分化誘導剤との併用による歯髄覆髄材の作製
Project/Area Number |
23K16052
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
高橋 萌 朝日大学, 歯学部, 助教 (60792984)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ブラジル酸グリーンプロポリス(BGP) / 炎症性サイトカイン / 抑制性サイトカイン / GW9664 / 歯髄細胞の石灰化 / 硬組織形成細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロポリスは口腔の軟組織における炎症を抑え、治癒効果を高めることが既に報告されている。 我々は既に、ブラジル産グリーンプロポリス(BGP)が抗CD3抗体刺激マウス脾細胞の炎症性サイトカイン産生を抑制し、Th2型の抑制性サイトカインを軽度に促進する一方で、IL-2産生を顕著に促進することを突き止め(Tsuruta H, 2022)、BGPが歯髄治療薬として消炎と軟組織修復を促進する可能性を見出している。 一方、BGPは硬組織形成細胞の分化を抑制することが報告されており(Elkhenany H, 2019)、その背景としてBGPによるPPAR-γを介した脂肪細胞や軟骨細胞への誘導が優位に引き起こされることが指摘されている。 そこで我々は、 BGPが歯髄由来間葉系細胞の分化・石灰化にどのような影響を及ぼすか、さらにPPAR-γのアンタゴニストであるGW9662存在下/非存在下において、それがどのように変化するか検討し、次いでこれら因子が刺激脾細胞のサイトカイン産生にどのような影響をおよぼすか検討した。低濃度のBGP(1/32000以下)は、歯髄細胞の硬組織形成細胞への石灰化を促進することが示唆された。一方、BGPは濃度依存的に刺激脾細胞のサイトカイン産生を抑制性(Th2優位)に変化させる働きのあることが示され、GW9662は、BGPのこの作用をさらに促進することが示唆された。結論として、硬組織形成を促進するとともに局所の炎症を治癒する理想的な歯髄覆髄材の開発に貢献しうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)BGP及びGW9662がヒト歯髄細胞の硬組織形成細胞への分化におよぼす影響。ヒト歯髄細胞(DP002)を用いて、BGP及びGW9662存在下で硬組織形成細胞への分化誘導を試みると、1/32000希釈以下の低濃度のBGP存在下において、コントロールに比べ石灰化が促進されたが、GW9662を共培養しても、有意な変化は観察されなかった。2)BGP及びGW9662が刺激脾細胞の抑制性サイトカイン産生におよぼす影響。マウス刺激脾細胞を用いて、BGP及びGW9662存在下で抑制性サイトカインであるIL-4及びIL-10産生の変化を観察すると、コントロールに比べIL-4は1/16000希釈以下のBGPの濃度において産生が促進され、それはGW9662共存下においてさらに促進された。IL-10産生では、顕著な変化は観察されなかった。3)BGP及びGW9662が刺激脾細胞のIL-2産生におよぼす影響。マウス刺激脾細胞を用いて、BGP及びGW9662存在下でIL-2産生の変化を観察すると、コントロールに比べ1/16000希釈以下のBGPの濃度において産生が促進され、それはGW9662共存下においてさらに促進された。4) BGP及びGW9662が刺激脾細胞の炎症性サイトカイン産生におよぼす影響。マウス刺激脾細胞を用いて、BGP及びGW9662存在下でIFN-γ、IL-6,IL-17産生の変化を観察すると、BGPの濃度依存的にそれらの産生は抑制され、GW9662共存下でそれらは更に抑制された。 以上の結果をまとめると、低濃度のBGP(1/32000以下)は、歯髄細胞の硬組織形成細胞への石灰化を促進することが示唆された。一方、BGPは濃度依存的に刺激脾細胞のサイトカイン産生を抑制性(Th2優位)に変化させる働きのあることが示され、GW9662は、BGPのこの作用をさらに促進することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
低濃度のBGP(1/32000以下)は、歯髄細胞の硬組織形成細胞への石灰化を促進するとともに、刺激脾細胞のサイトカイン産生を、炎症を治癒に向かわせる抑制性(Th2優位)に変化させる働きのあることが示され、GW9662は、BGPのこの作用を促進することが示唆された。今後はこれら物質を含有する覆髄材の作製を行い、それらの馴化培地を調製してヒト歯髄細胞の石灰化を促進するとともに刺激マウス刺激脾細胞のサイトカイン産生を抑制性に変化させる理想的な配合の条件検討を目指す。
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Causes of Carryover |
研究開始初期は既存の物品、資材を用いて行ったため、必要経費に含みませんでした。また、年度末近くに研究に用いる資材購入の際に入荷待ちであったため、請求・支払い時期が次年度に回りました。今後、試薬、資材含め必要な消耗品含め物品は適宜購入していく計画です。
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