2023 Fiscal Year Research-status Report
筋痛モデルラットによる咀嚼筋痛受容機構解明ならびに治療法開発の基盤形成
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23K16069
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
生田目 大介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10910218)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 咬筋痛 / 線維筋痛症 / グリア細胞 / 炎症性サイトカイン / ミノサイクリン / レセルピン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は咀嚼筋痛モデルラットを用いて,歯科治療において遭遇することの多い咀嚼筋痛の伝達メカニズムおよびグリア細胞機能抑制による鎮痛効果や作用機序の解明を目指し,新規の咀嚼筋痛治療法開発の基盤を形成することである。 本研究は,第一に咀嚼筋痛モデルラットを用いて機械刺激に対する逃避反射閾値測定による行動観察実験を行った。下降性疼痛抑制系を機能低下させるレセルピンを5週齢 SD系雄性ラットの咬筋に注射し,それらをレセルピン注射群とした。また,比較対象としてナイーブ群を設定した。その後,デジタルフォンフライにより,咬筋に対する逃避反射閾値を測定した。第二に三叉神経節におけるサイトカインの免疫組織学的解析を行った。具体的には灌流後,三叉神経節を摘出,組織切片を作製し,炎症性サイトカインのCXCL2に対し免疫組織学的染色を行った。第三にレセルピン注射を行ったラットに対し三叉神経節へのミノサイクリン直接投与を行い,ミノサイクリン投与群とし行動観察実験を行った。 結果として,逃避反射閾値は,レセルピン注射群はナイーブ群と比較し,3日目から10日目まで有意な低下を認めた。また,ミノサイクリン投与群はナイーブ群と比較し,3日目から7日目まで有意な低下を認め,さらにレセルピン注射群と比較し,5日目から10日目まで有意な上昇を認めた。また,三叉神経節におけるCXCL2免疫組織学的染色では,レセルピン注射群はナイーブ群と比較し,CXCL2陽性細胞数の有意な増加を認めた。 以上より、咀嚼筋へのレセルピン注射による機械痛覚過敏の発症およびグリア細胞の活性化の増大の可能性が示された。よって、咀嚼筋痛の発症メカニズムにはグリア細胞の機能が関与する可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた,咀嚼筋痛モデルラットを用いて機械刺激に対する逃避反射閾値測定による行動観察実験,三叉神経節におけるサイトカインの免疫組織学的解析のサンプル数の増加を行った。新規にレセルピン注射を行ったラットに対し三叉神経節へのミノサイクリン直接投与を行い,ミノサイクリン投与群とし行動観察実験を行った。 結果として,逃避反射閾値は,レセルピン注射群はナイーブ群と比較し,3日目から10日目まで有意な低下を認めた。また,ミノサイクリン投与群はナイーブ群と比較し,3日目から7日目まで有意な低下を認め,さらにレセルピン注射群と比較し,5日目から10日目まで有意な上昇を認めた。また,三叉神経節におけるCXCL2免疫組織学的染色では,レセルピン注射群はナイーブ群と比較し,CXCL2陽性細胞数の有意な増加を認めた。以上より,咀嚼筋へのレセルピン注射による機械痛覚過敏の発症およびグリア細胞の活性化の増大の可能性が示された。よって,咀嚼筋痛の発症メカニズムにはグリア細胞の機能が関与する可能性が考えられる。以上の結果から,本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ミノサイクリン投与群における三叉神経節に発現するグリア細胞の活性化および遊離サイトカインの免疫組織学的解析を行う予定である。さらに,咬筋に注射針の刺入を行い,それらをシャム群とし各実験を行い,レセルピン注射群およびナイーブ群との比較解析を行う。また,各実験における各群のサンプル数を増やし,より正確な比較解析を行うことが出来るようにする。 本研究の発展として,ノックアウトマウスを用いて各実験を行い,本研究の結果との比較解析を行うことも考慮している。
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Causes of Carryover |
予定していた実験の継続に伴う必要機材・薬品等の購入が新型コロナ感染拡大に伴う世界情勢不安およびロシアによるウクライナに対する軍事侵攻に伴う物流への影響によって不安定となり,機材・薬品確保に時間がかかり,実験計画が変更になり物品費,旅費および謝金等の費用を使用せず,次年度使用額が生じた。 翌年度は,実験計画を当初より前倒しすることによって実験スピードを高速化し,円滑な実験を行うことが可能となるため,翌年度分として請求した研究費と合わせて機材・薬品購入に使用する予定である。
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