2023 Fiscal Year Research-status Report
抗菌性接着システムにおける抗菌活性再生と環境因子の相互作用のメカニズム解明
Project/Area Number |
23K16089
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中守 貴一 広島大学, 医系科学研究科(歯), 特任助教 (00964199)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗菌性 / 接着 / リチャージ / 塩化セチルピリジニウム(CPC) / モンモリロナイト |
Outline of Annual Research Achievements |
歯質界面における永続的な抗菌活性による二次カリエスの予防を期待して、有機無機複合型抗菌剤「塩化セチルピリジニウム担持モンモリロナイト(CPC-Mont)」を接着性レジンセメントやコンポジットレジンにおけるボンディングプライマーに配合することを着想した。CPC-Montからの抗菌成分CPCの徐放とリチャージに影響する口腔の液相中のCPCの有無による平衡関係(環境因子)を検証し、さらに、CPC-Montを配合した抗菌性ボンディングプライマーにおけるCPCの徐放・リチャージに影響する材料学的因子を含めた環境因子を明らかにする必要がある。したがって、本研究の目的は、「抗菌性接着システムにおける抗菌活性再生と環境因子の相互作用のメカニズム解明」である。 2023年度は、CPC-Mont単体からの抗菌成分CPCの徐放特性を検証した。粒度分布D50(μm)≦5;D90(μm)≦10に調製した微粉CPC-Montとして高徐放と低徐放の2タイプ試作した。高徐放タイプと低徐放タイプについて、CPC含有率は57 wt%、51 wt%、CPC初期徐放量は80~120 mg/g、10~16 mg/gであった。両タイプのCPC徐放量は初期で差はあるものの、2時間以降は同程度の徐放量となった。また、CPC徐放量の測定において、UVスペクトル法とHPLC(高速液体クロマトグラフィー)法で測定結果を比較し、測定機器による差異が無かったため、本研究ではUVスペクトル法を採用することとした。現在、リチャージに影響する環境因子について検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度に予定したCPC-Mont担体におけるCPC徐放・リチャージに影響する環境因子の検証のうち、CPCリチャージについては現在も検証中である。したがって、本研究課題の進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度内で実施できなかったCPCリチャージ特性について結果を整理した後、CPC-Mont配合ボンディングプライマーを試作し、CPC徐放・リチャージに影響する材料学的因子を含めた環境因子を検証することで、抗菌性ボンディングプライマーへの抗菌剤至適配合率を決定する。以上より、抗菌活性再生と環境因子の相互作用のメカニズムを解明することで抗菌性接着システムの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
進捗状況にも記載した通り、進捗はやや遅れているため、その分だけ次年度使用額が生じた。CPCリチャージについては現在検証中であることから、次年度使用額をこれに使用予定である。
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