2023 Fiscal Year Research-status Report
基質石灰化機構に着目した口腔癌の顎骨浸潤メカニズムの解明
Project/Area Number |
23K16133
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
藤居 泰行 東京医科大学, 医学部, 助教 (90829748)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨の石灰化にはCaとPから成る結晶核が関与し、骨芽細胞より放出された基質小包膜上のALPはピロリン酸(PPi)を分解してリン酸(Pi)を産生する。PPiは石灰化の阻害因子で、細胞外基質におけるPPiの上方調節は、基質小胞膜に存在しATPを加水分解してPPiを産生する酵素であるENPP1と、細胞質から細胞外基質へのPPiトランスポーターであるANKやNa+/PiトランスポーターであるPit1/2が関与している。この基質石灰化機構に着目し、口腔扁平上皮(OSCC)の骨浸潤領域ではATP、PPi、Piの不均衡が石灰化阻害を誘発し、骨浸潤や転移を進行させていると仮説を立てた。口腔癌細胞株と顎骨浸潤マウスモデルを用いて、骨の基質石灰化に重要なATP―ピロリン酸(PPi)-リン(P)代謝機構に焦点を当てることにより口腔癌の顎骨浸潤メカニズムの解明を行うことを本研究の目的とした。 3種類のヒト口腔癌細胞株(HSC2株、HSC3株、HSC3-M3株)を用いて、in vitroの実験を行った。ANK、ENPP1、Pit1/2の遺伝子発現をreal-time PCR法で評価し、さらにウエスタンブロット法を用いてタンパク発現を評価した。高悪性の細胞株で発現の上昇を認める関連遺伝子を認め、器質石灰化と顎骨浸潤の関連を示唆するデータを得ている 今後は骨芽細胞と口腔癌細胞の共培養を行い、口腔癌細胞による骨芽細胞への影響の検証、また顎骨浸潤マウスモデルによるin vivoでの検証を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顎骨浸潤モデルマウスの作成に難渋している。細胞株実験では、遺伝子発現とタンパク発現に相違があり、ターゲット因子の絞り込みに苦慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は骨芽細胞と口腔癌細胞の共培養を行い、口腔癌細胞による骨芽細胞への影響の検証、また顎骨浸潤マウスモデルによるin vivoでの検証を予定している。
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Causes of Carryover |
細胞株の購入や、実験試薬・機材は予定通り購入することができた。次年度使用額は、マウスの購入や免疫染色のための抗体の購入に使用する予定である。
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