2023 Fiscal Year Research-status Report
歯原性角化嚢胞における遺伝子パネルおよびシングルセル解析
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23K16134
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
中村 ゆり子 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (40755047)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歯原性角化嚢胞 / Gorlin症候群 / 遺伝子パネル |
Outline of Annual Research Achievements |
Hedgehog(Hh)経路は乳がんをはじめ多くの腫瘍で異常な発現が報告されており、腫瘍形成に関与する重要な経路として考えられている。Hh受容体であるPTCH1の機能喪失変異で生じるGorlin症候群(母斑基底細胞癌症候群(Nevoid Basal Cell Carcinoma Syndrome; NBCCS))は多発性の嚢胞、腫瘍が生じることが知られている。Gorlin症候群は腫瘍形成を全身に生じる先天奇形症候群である。基底細胞癌、大脳鎌の石灰化、髄芽腫、顎骨の歯原性角化嚢胞(OKC)等、多様な臨床所見をもつ 。特に顎骨に生じるOKCは多発性に見つかることが多く、局所的な増大による骨の脆弱化と再発率が高いことが知られている。Gorlin症候群が生じるOKCや基底細胞癌ではにはPTCH1遺伝子変異によるHh経路の異常活性化が病気の発生に関わっている。 OKCはGorlin症候群の生殖細胞変異に伴って生じる症候群性OKCと病変部の体細胞変異によって生じる弧発性OKCが存在する。病理像では症候群性、弧発性OKCともに大きな違いは認められず、嚢胞の基底部当たる細胞でHh経路の活性化認められる。 OKCでHh経路関連遺伝子が変異を有すること、および基底細胞でHh経路の転写因子であるGLIの発現上昇が認められること、およびその病態から原因細胞は基底部の細胞であると考えられていたが、現状その細胞に遺伝子変異が存在することは明示されていない。 遺伝子パネル解析で遺伝子変異に注目すると症候群性と弧発性のOKCの遺伝子変異率は大きく異なった。引き続き、OKC(症候性、孤発性)の遺伝子パネル解析データの構築を行い、遺伝子変異を有する症候群性、孤発性OKCを単一細胞レベルでの細胞特性の取得を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
孤発性OKCの4遺伝子(PTCH1,PTCH2,SMO,SUFU)の単独または多重変異が存在する頻度を解析した。現時点で解析を終了した症候性OKCと孤発性のOKCにおける体細胞変異の病的変異の発生頻度を比較し、研究結果をまとめている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
OKC(症候性、孤発性)サンプル数を増加していく方針である。引き続き、OKC(症候性、孤発性)の遺伝子パネル解析データの構築を行う予定である。また、遺伝子変異を有する孤発性OKCに同一細胞からDNAとRNAの同時抽出を行い、単一細胞レベルでの細胞特性を取得する予定である。
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Causes of Carryover |
追加の遺伝子解析に使用する試薬やキットの購入を2024年度に購入を検討しているため。2023年度は必要最低限の試薬を使用して研究実施を行ったため。
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