2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the Mechanism of Chronic Dysesthesia by Central Sensitization Assessment
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23K16137
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
河端 和音 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10908156)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中枢性感作 / サーマルグリル錯覚 / 三叉神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
三叉神経領域に疼痛や異常感覚のない健常成人ボランティア25名を対象にサーマルグリル錯覚(Thermal grill illusion:TGI)が三叉神経領域内で惹起されるか検討した。TGI誘発装置(intercross-220)の3枚の温度変化する金属プレート部分を三叉神経領域を測定するために可動式に改良した装置を使用した。全ての測定は基準温度である32℃から開始した。被験者には事前に中枢性感作と気分状態に関連した質問紙である CSI (Central Sensitization Inventory)とPOMS2 (Profile of Mood States 2nd Edition)に回答してもらった。まず、40℃の単一刺激 、20℃の単一刺激 、20℃/ 40℃/ 20℃のTGI刺激を被験者に各々20秒間与え、誘発された感覚(熱冷感、不快感、痛み)をVASで評価した。さらに、温度が0.5℃/秒で上昇する(冷プレート20℃で固定)TGI刺激を与え、痛みを感じた時点でボタンを押すように指示し、基準温度からの温度差ΔTを測定した。得られたデータから3種類の温度刺激によって誘発された刺激のVASを比較した。さらに、CSI、POMS、温冷感覚のΔT (TGIによる痛みの閾値)への影響を検討した。結果は、熱刺激や冷刺激による単一刺激と比較して、TGIによる刺激は痛みや不快感が有意に高値となった。CSIおよびPOMSのスコアが高値になるとΔTが低下した。また20℃冷刺激に対する感度が高いとΔTが低下したが、40℃温刺激の感度はΔTに影響を及ぼさなかった。 以上より、三叉神経領域においてTGIが誘発できること、さらに冷覚や中枢性感作症状の強さ、ネガティブな気分状態がTGIに影響を及ぼすことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常成人ボランティアでのデータ収集は完了しているが、三叉神経領域に慢性的なしびれを有する患者のデータ収集が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
三叉神経領域に慢性的なしびれを有する患者だけでなく慢性疼痛を有する患者にも対象者を拡大する。また、三叉神経領域と脊髄神経領域の比較も行う。
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Causes of Carryover |
令和6年度も研究を継続するため、消耗品である三叉神経刺激電極の購入に使用する。また、論文発表のための英文校閲に使用する。
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