2023 Fiscal Year Research-status Report
シュワン細胞調節性オートファジーが末梢神経損傷後の神経再生に与える影響の解明
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23K16167
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
稲田 大佳暢 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80909119)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 下歯槽神経 / 機械的痛覚閾値 / 熱痛覚閾値 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画において令和5~6年度の到達目標は①可歯槽神経損傷モデルの作成,②下歯槽神経損傷モデルによるオトガイ神経知覚異常の行動薬理学的解析,③下歯槽神経損傷モデルにおけるオートファジーの形態学的解析であった。 下歯槽神経損傷モデルの作成については,SD系雄性ラット(6週齢)の顔面部皮膚に15mmの切開を加え,下顎骨を削除して三叉神経第三枝の枝である下歯槽神経を剖出させ,下歯槽神経を5mm切除し,止血確認後に切開部を縫合したものを下歯槽神経損傷群とした。一方,下歯槽神経の剖出のみを行った群をsham群とした。現段階でこれらの実験モデルの作成手法の確立が出来ており,今後の実験に際して実験モデルを速やかに作成することが可能となった。 下歯槽神経損傷モデルにおけるオトガイ神経知覚異常の行動薬理学的解析については,機械刺激装置(デジタルフォンフライ)を使用し,下歯槽神経の末枝であるオトガイ神経の支配領域(オトガイ部)の機械的痛覚閾値を測定した。また,輻射熱刺激装置を使用して熱痛覚閾値も測定した。測定を行う時間帯,個体差および麻酔深度により数値のばらつきが大きく,研究開始当初は測定値の信憑性が低かったが,実験施行の時間帯を統一し,麻酔深度の調節やラットの体重を合わせることで疼痛閾値の数値が安定し実験手法の確立ができた。 下歯槽神経損傷モデルにおいて,下歯槽神経の末枝であるオトガイ神経の支配領域(オトガイ部)の機械的痛覚閾値はsham群と比較して有意に高い値を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機械刺激装置(デジタルフォンフライ)を使用して,下歯槽神経の末枝であるオトガイ神経の支配領域(オトガイ部)の機械的痛覚閾値を測定する際の測定を行う時間帯,個体差および麻酔深度により数値のばらつきが大きく,研究開始当初は測定値の信憑性が低く,適正な麻酔深度を設定するまでに時間を必要とした。しかし,令和5~6年度の目標である①可歯槽神経損傷モデルの作成,②下歯槽神経損傷モデルによるオトガイ神経知覚異常の行動薬理学的解析,③下歯槽神経損傷モデルにおけるオートファジーの形態学的解析のうち①②は令和5年度中に達成できており,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定していた令和5~6年度中の目標のうち,未達成の下歯槽神経損傷モデルにおけるオートファジーの形態学的解析については,予定通り,透過型電子顕微鏡を用いたシュワン細胞に形成されるオートファゴソームやミエリン断片の局在の観察を速やかに実行する。 令和7年度以降に予定していた下歯槽神経損傷モデルへのmTOR阻害剤持続投与効果の解析についても既に開始可能な段階のため,予定よりも早期に実験を開始する。
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Causes of Carryover |
実験試薬の消費が予想より少なかった。次年度使用額は今年度使用額と合わせて研究計画に沿って、実験に使用する。
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