2023 Fiscal Year Research-status Report
新規フェロトーシス抑制因子FSP1制御による薬剤耐性口腔癌の克服
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23K16174
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
石川 敬彬 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (00825292)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 口腔癌 / フェロトーシス / FSP1 / GPX4 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ferroptosis suppressor protein1(FSP1)は新たに発見されたフェロトーシスへの耐性因子であり、FSP1の阻害による口腔癌細胞でのフェロトーシス誘導効果はいまだ不明である。本研究では、FSP1阻害によって口腔癌細胞へのフェロトーシス誘導効果を検証し、既存のフェロトーシス誘導剤(GPX4阻害剤等)との併用などにより化学療法としてのフェロトーシス誘導治療の有用性を実証することを目指した。 フェロトーシスへの耐性の中心的な因子はGPX4であると考えられている。これまでに、GPX4を阻害することでフェロトーシス誘導が生じることが分かっている。GPX4が阻害された状態において、フェロトーシスへの耐性機構はFSP1が代償的に担うと考えられてきた。そこで、口腔癌細胞へGPX4阻害を行うことでフェロトーシスが生じることをまず確認した。そして、GPX4阻害にてフェロトーシス誘導状態となった口腔癌細胞においてFSP1タンパクの発現上昇が起こることが認められた。口腔癌細胞においてもGPX4阻害下ではFSP1が代償的にフェロトーシス耐性機構を担うことが分かった。 続けて、GPX4阻害環境でのFSP1動態解析を行うために、GPX4遺伝子ノックアウトの口腔癌細胞を樹立を開始した。GPX4遺伝子のノックアウトをCRISPR-Cas9を利用した遺伝子編集にて行い、限界希釈サブクローニングにてGPX4ノックアウト口腔癌細胞を樹立した。樹立したGPX4遺伝子ノックアウト口腔癌細胞はWild typeの細胞と比較して、FSP1タンパクの発現が上昇していることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔癌細胞SASおよびHSC-2に対してフェロトーシス阻害剤によってフェロトーシス誘導が起こることと、GPX4発現低下と相対的にFSP1発現が上昇することを認めた。本結果より、口腔癌細胞においてもGPX4阻害下ではFSP1が代償的にフェロトーシス耐性を担うことが考えられた。そこで、SAS・HSC-2に対してCRISPR-Cas9を利用した遺伝子編集にてGPX4遺伝子をノックアウトさせたところ、FSP1発現が上昇することを認めた。以上のことから、概ね当初の予定通りに口腔癌細胞でのGPX4阻害環境下でのFSP1発現上昇の確認と、GPX4遺伝子ノックアウト口腔癌細胞の樹立を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に基づいて、樹立したGPX4遺伝子ノックアウト口腔癌細胞(FSP1恒常発現上昇口腔癌細胞)に対してFSP1阻害剤の投与にてFSP1阻害を行う。FSP1阻害によってGPX4遺伝子ノックアウト口腔癌細胞の細胞生存率の変動や酸化ストレス関連遺伝子・タンパク質の変動解析を行うことでFSP1阻害でのフェロトーシス誘導効果をin vitroにて行う。in vitroでのFSP1阻害によるフェロトーシス誘導法を確立した後に、動物実験(in vivo)でのFSP1阻害効果判定実験へと移行する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画の実験が想定よりもスムーズに進行したことから予定よりやや少ない物品費にて研究遂行が可能であった。若干の残額分は次年度の生化学実験の物品費へと利用する予定である。
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