2023 Fiscal Year Research-status Report
先天欠如歯を誘発する環境要因の解析とゲノム編集マウスを用いた歯牙欠損発症機構解明
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23K16182
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中津川 昂平 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (40848248)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯胚形成異常 / レチノイン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、出生直後のR26-WntVisマウスあるいはWNT10Aゲノム編集マウスにシクロホスファミド(CPA),レチノイン酸(RA)等の歯牙形成に影響を及ぼす環境因子を投与し,カノニカルWntシグナルの変化を解析することで環境要因と遺伝要因による歯胚形成異常のメカニズムを解明することである。本年度の研究ではカノニカルWntシグナルのGFPによる可視化が可能であるR26-WntVisマウスを用い,初期発生段階の歯胚におけるWntシグナル活性の観察を行った。その結果、発生初期の歯原性上皮や間葉におけるWntシグナル活性の上昇を確認した。また、異なるシグナル経路として Wntシグナルの調整を行う一つのシグナル経路であるレチノイン酸(RA)シグナル経路に注目した。レチノイン酸合成に必要不可欠なRDH10に着目し、その先行研究としてCre-ERT2:Rdh10flox/flox遺伝子変異マウスを作成した。胎生7日にタモキシフェンを投与すると口蓋裂や中顔面裂が生じることを明らかにし、さらには切歯歯胚の形成不全を引き起こす事を見出だした。これらの結果はWntシグナルとも密接な関係をもつRAシグナルが切歯の発生に必要である事を証明した新規所見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、まずはCre-ERT2:Rdh10flox/flox遺伝子変異マウスを用いる。胎生期にタモキシフェンを投与し、胎生時期のRDH10の欠失が歯の発生に与える影響について観察する。その後、Wnt10Aのゲノム編集マウスを作成し、RAを含めた環境要因に暴露させることで,環境要因との相互作用による歯の形成異常の表現型を観察することとする。
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