2023 Fiscal Year Research-status Report
上皮細胞極性化モデルを用いた細胞形態による分化制御機構の解明
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23K16187
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 茜 九州大学, 大学病院, 医員 (70967752)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯 / エナメル芽細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル芽細胞は、増殖期、分化期、基質形成期、成熟期および退縮期とその分化時期に応じた様々な機能を有するが、その過程において、形態を変化させる特殊な細胞である。これまでの破骨細胞を用いた研究で、細胞内アダプタータンパクのひとつであるp130Casが、細胞接着、細胞骨格の維持および細胞極性などの細胞プロセスに重要であることを発見した。この結果から、p130Casによる細胞極性制御を介した細胞分化機構の存在が示唆されるが、そのメカニズムは不明である。そこで、細胞極性の評価が容易であり、かつ石灰化機構を有するエナメル芽細胞をモデルとして研究を行うこととした。そこで本研究では、p130Casを介したエナメル芽細胞分化メカニズムを解析することで、細胞極性による新たな細胞分化制御機構の解明を目的として研究を開始した。 p130Casを上皮特異的に遺伝子欠損させたマウスの切歯の矢状断切片を作成し、エナメル芽細胞分化過程におけるエナメル芽細胞の細胞形態を観察したところ、分化が進むにつれて、細胞の多層化と核の極性の乱れを伴うエナメル質形成不全症を呈していた。そこで、細胞多層化を in vitroで再現するモデルとして、細胞極性化を誘導するため、3次元培養システムの構築を行った。エナメル芽細胞はその分化過程において、極性化が生じることが知られている。そこで、歯の発生時期に発現するlamininをコーティングし、分化誘導を行ったところ、細胞が敷石上に変化し、細胞極性マーカーであるZo-1が頂端側へ配列することを認めた。今後は本細胞株を用いて解析を行うことで、細胞内シグナルの同定を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極性化を可視化するためのツールとして3次元培養システムの構築に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した細胞株を用いて3次元培養を行うことで、細胞の極性化をin vitroで再現し、極性化決定メカニズムの解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は主に細胞株を用いた極性化決定モデルの作製に費やしたことから、多額の予算を要する網羅的遺伝子解析を行うことができなかった。次年度の早い段階で網羅的遺伝子解析を計画しており、研究計画に大きな変更は生じない。
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Research Products
(2 results)