2023 Fiscal Year Research-status Report
ラセミ化反応による口腔疾患とD-アスパラギン酸産生との関連
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23K16216
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
峰岸 沙希 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00882820)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ラセミ化 / 加齢性疾患 / 年齢推定 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は予備実験として、象牙質における酵素の応用を再検討した。ラセミ化と関連が深い全身疾患の一つであるアルツハイマー病において、酵素が診断と治療におけるバイオマーカーの一つとされていることに着目し、象牙質ラセミ化法へ酵素(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ:AST)が応用可能か試みた。すなわち、象牙質ホスホホリンのラセミ化において、ASTによる酵素反応を用いた年齢推定への応用を検討した。予備的検討から、酵素濃度(AST)、反応時間、基質(α-ケトグルタル酸)の有無により、様々に異なるラセミ化率が得られ、基質を加えると全体的にラセミ化率は減少した。0.1U ASTでは15分経過で、加えない場合の15分と30分に対して有意に低くなり(p <0.01)、また0.2U ASTでは15分および30分経過で、いずれも有意に低くなった(p <0.01)。象牙質に含まれるアスパラギン酸(Asp)のほとんどはL-Aspであり、D-Aspは極めて微量である。基質存在下では十分に酵素反応が進み、本来であればL-Aspのみが減少し、ラセミ化率が高くなることが推定されものの有意に低くなったことから、象牙質に微量に存在するD-AspにAST酵素が作用している可能性も考えられた。本結果については論文投稿中である。 また、口腔疾患の一つとして、齲蝕の有無による生活歯のラセミ化率の比較および象牙質のタンパク質構造の変化との関連については試料収集を継続している。失活歯におけるラセミ化率への影響として、収集した抜去歯のうち2歯については、抜髄、根管貼薬剤の種類および期間、根管充填、補綴物合着、抜歯までが明らかであり、ラセミ化率の影響についても確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガスクロマトグラフィー、エバポレーターといった機器のメンテナンスおよび部品の交換を行う必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
試料収集を継続し、抜髄から抜歯日まで明らかな試料に関しては分析を行う。
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Causes of Carryover |
データ採取が不十分であり、予定していた学会発表が困難であった。 使用予定であるGC-MSやLC-MS/MSのメンテナンスや備品の購入を予定。
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