2023 Fiscal Year Research-status Report
口腔細菌による糖代謝が引き起こす口臭物質「硫化水素」の産生促進機構の解明
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23K16222
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 武史 大阪大学, 大学院薬学研究科, 招へい教員 (10898224)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口臭 / 口腔細菌 / アクチノマイセス属 / 硫化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
口臭は、歯科学的にも社会的にも軽視できない問題であり、近年の清潔志向を背景に益々 注目されている。口臭の原因物質としてはVSCsが認められ、その中でも硫化水素は主要な口臭原因物質の一つとして知られている。代表的な15種の口腔細菌から硫化水素産生菌を特定したところ、口腔バイオフィルムの中核的存在を示すA. naeslundiiがシステインとグルコースを代謝することで最も多くの硫化水素を産生することを確認した。そこで、本年度は研究計画に基づいて、上記条件下でのA. naeslundiiの菌体内遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果、培地にシステイン添加した条件下では既知の硫化水素産生経路に関連する遺伝子の発現は抑制された。一方で、別の硫黄化合物の代謝に関連する遺伝子が高発現していた。そこで、その硫黄化合物をシステインと共にA. naeslundiiに添加すると硫化水素の産生が促進された。以上より、A. naeslundiiの硫化水素産生における主要因代謝物を新たに特定した。 今後は、菌体内外での新規硫黄化合物の動態解析を進めると共に、その代謝経路に関連する遺伝子発現についても解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023度研究実施計画に記載したA. naeslundiiの遺伝子発現の網羅的解析は完了した。その中で、硫化水素発生における新たな代謝経路を見出すなど当初仮説とは異なる結果を得られているが、研究としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遺伝子網羅的解析から得られた、当初想定していなかった新たな代謝経路に着目する。高発現している遺伝子が関与する代謝経路上にある代謝物を用いて、A. naeslundiiの硫化水素産生の関与の有無を確認する。また、菌体内外代謝物の解析を実施し、A. naeslundiiの硫化水素産生の新たな代謝経路の特定を検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度に計画していた物品購入費においては、実験が滞りなく進捗したことから、試薬等の消耗品費が予定よりも下回った。2024年度は、当初実験計画にはなかった新たな代謝経路の解析に関し、その試薬・物品の購入費や解析費用に利用する予定である。さらに、学会参加での情報収集も実施する予定である。
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Research Products
(2 results)