2023 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用可能なプロポフォール封入リポソーム製剤開発のための生物学的利用能の検討
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23K16224
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西岡 由紀子 岡山大学, 大学病院, 助教 (80896530)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リポソーム / プロポフォール / DDS / 生物学的利用能 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害者歯科診療では、鎮静や全身麻酔が必要な知的障害者の麻酔導入前に前投薬が行われることがあるが、前投薬の影響で麻酔からの覚醒が遷延してしまう問題がある。そこで効果発現と代謝が速く、麻酔からの速やかな覚醒が期待できる静脈麻酔薬プロポフォールを応用して、脂質膜から成る薬物キャリアであるリポソームに封入することで経口または経鼻投与による前投薬を可能にすることができると考えた。そこで、プロポフォール封入リポソームの生物学的利用能を高め、臨床に応用できるよう、リポソームの組成、細粒化条件および投与経路を検討し、最適なドラッグデリバリーシステムを検討することを目的とした。 今年度は、プロポフォール封入リポソームの細粒化について検討を行った。まず内面をフッ素加工したフラスコに有機溶媒で希釈した脂質およびプロポフォールを混和し、ロータリーエバポレーターを用いて薄膜を形成し、ボルテクスィング法でプロポフォール封入リポソームを作製した。さらにプロポフォール封入リポソームをサンプル密閉式超音波破砕装置を用いて超音波処理し、細粒化プロポフォール封入リポソームを作製した。超音波処理に際し、さまざまな出力と処理時間を組み合わせ、動的光散乱システムを用いて粒子径を測定して評価を行い、プロポフォール封入リポソームの最適な細粒化条件を検討した。その結果、概ね安定して細粒化を行うことができた。また、細粒化することによってプロポフォール封入リポソームのプロポフォール濃度に変化がないかを検討するために、細粒化前のプロポフォール濃度と細粒化後のプロポフォール濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、細粒化してもプロポフォール濃度は概ね変わらないことも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、今年度は、プロポフォール封入リポソームの細粒化について検討を行った。まず内面をフッ素加工したフラスコに有機溶媒で希釈した脂質およびプロポフォールを混和し、ロータリーエバポレーターを用いて薄膜を形成し、ボルテクスィング法でプロポフォール封入リポソームを作製した。さらにプロポフォール封入リポソームをサンプル密閉式超音波破砕装置を用いて超音波処理し、細粒化プロポフォール封入リポソームを作製した。超音波処理に際し、さまざまな出力と処理時間を組み合わせ、動的光散乱システムを用いて粒子径を測定して評価を行い、プロポフォール封入リポソームの最適な細粒化条件を検討した。その結果、概ね安定して細粒化を行うことができた。また、細粒化することによってプロポフォール封入リポソームのプロポフォール濃度に変化がないかを検討するために、細粒化前のプロポフォール濃度と細粒化後のプロポフォール濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、細粒化してもプロポフォール濃度は概ね変わらないことも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
プロポフォール製剤、プロポフォール封入リポソーム、細粒化プロポフォール封入リポソームをそれぞれウサギに静脈内、経口、または経鼻投与し、血液を経時的に採血し、前処理した後、高速液体クロマトグラフィーを用いて血中プロポフォール濃度を測定し、各試験薬における生物学的利用能を比較する。
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Causes of Carryover |
概ね当初の計画通りに進行したが、想定より試験薬等を安価に抑えることができたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は動物実験や研究消耗品に使用する予定である。
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