2023 Fiscal Year Research-status Report
日本の予防接種健康被害救済制度と諸外国の救済制度の比較
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23K16251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 友康 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (80974477)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 予防接種健康被害救済制度 / ワクチン禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の予防接種健康被害救済制度と主に米国・ニュージーランドの救済制度の比較検討を行い、それぞれの制度の利点と課題を明らかにし、日本の予防接種健康被害救済制度の課題を考察することである。 応募者は、これまでの研究において、日本の予防接種健康被害救済制度には、次の7点の課題があることを明らかにした。それらは、①国民に対する予防接種健康被害救済制度の周知、②勧奨接種と任意接種の二つの異なる健康被害申請、救済の請求・給付プロセス、健康被害者の保健福祉・相談事業の一元化と充実化、③健康被害申請と認定にかんするプロセスと高いハードルの改善、④自治体による予防接種健康被害救済の制度化と保険制度の積極的な活用、⑤迅速な健康被害者認定通知、⑥治療法の確立と医療費負担の軽減、⑦迅速な予防接種死亡一時金の支給、である(「犠牲のシステム」としての予防接種施策―日本の予防接ワクチン禍の歴史的変遷、明石書店:2022)。 これらの課題に対して、本研究では具体的に米国とニュージーランドの救済制度においては、どのような対応がなされているかを明らかにすることを目指す。 研究の実施計画は、①文献調査に基づいた2ヵ国の制度と救済にかんするデータの分析(日本の制度については調査済み)、②2ヵ国の健康被害者・支援者への聞き取り調査、③日本の救済制度の7つの課題に、米国とニュージーランドの制度はどのように対応しているのかを明らかにすることを試みることであった。 2023年度は、米国の予防接種健康被害救済制度にかんする先行研究レビューを行った。 書籍と論文をあわせて約50の文献を検討し分析を進めた。また4つの学会において発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、米国の予防接種健康被害救済制度にかんする先行研究レビューを行った。 書籍と論文をあわせて約50の文献を検討し分析を進めた。また、つぎの4つの学会において本研究にかんしての発表をおこなった。1.「犠牲のシステム」としての予防接種施策―予防接種健康被害救済制度の課題、関東社会学会一般研究発表 2023年6月。2.「犠牲のシステム」としての予防接種施策―予防接種健康被害救済制度の課題、総合人間学会一般研究発表 2023年6月。3.予防接種健康被害救済制度の課題と 実効性―新型コロナ感染症(COVID-19)ワクチン禍に注目して―、障害学会第20回大会 2023年9月。4.「犠牲のシステム」としての予防接種施策―予防接種健康被害救済制度の課題、第96回日本社会学会 2023年10月。上記に4つの研究発表は口頭発表である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は。米国の予防接種健康被害救済制度のかんする先行研究レビューを継続する、コロナ禍が収束したため、おもに米国においてワクチン接種健康被害者とその支援者等(約15名)の聞き取り調査を実施する。現在、現地での聞き取り調査対象者を選定している。米国訪問後に調査結果をまとめ・分析し、学会等で発表する。2025年度は、ニュージーランドにおいて、同様の聞き取り調査(約15名)を実施する。聞き取り調査対象者の選定は2024年度に行う。その後、調査結果をまとめ、学会等で発表する予定である。2026年度は、本研究をまとめ・分析・考察し、学会発表・査読論文執筆を行う予定である。2027年度も2026年と同様の研究活動(学会発表・査読論文)行うが、不測の事態で研究が遅延した場合の予備期間とする。また円安が急激に進行しているため、予算の配分も考慮に入れる必要がある。
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Causes of Carryover |
当該研究を発表した4つの学会は、いずれも東京都内で開催され、旅費交通費の支出は発生しなかったため次年度の使用額が生じた。当該繰り越し額は、急激な円安が進行しているため。2024年度以降の海外旅費費が当初の予算よりも大幅に増加する可能性があり、その分に補填する予定である。
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Research Products
(4 results)