2023 Fiscal Year Research-status Report
Prevention of healthcare-associated infections by the continuous bactericidal action of various clinically used disinfectants
Project/Area Number |
23K16396
|
Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
河村 真人 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (20524581)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 緑膿菌 / 消毒薬 / 抗菌力 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療環境や生体に対して各種消毒薬を用いた消毒・滅菌が実践されている。一般的な消毒は、汚染部位における細菌やウイルスなどを瞬時に殺滅することが目的である。しかしながら、緑膿菌に対し塩化ベンザルコニウムで12時間暴露をすることで確実な殺菌がされることを報告してきた。 今回は、消毒剤として消毒用エタノール、銀配合エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、ペルオキソ一硫酸水素カリウム配合除菌・洗浄剤、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩化ベンザルコニウムを用いた。これらの消毒薬にステンレスディスクを浸漬後に取り出すことで、表面上に薬剤を残存させた。静置後0、24および72 h 経過したディスク上にMcFarland No. 0.5に調整した被験菌培養液を接種した。被験菌は、緑膿菌およびA. baumanniiとした。培養液を接種後にディスク上に生残する菌株を回収し、コロニーカウントした。 ペルオキソ一硫酸水素カリウム配合除菌・洗浄剤、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩化ベンザルコニウム浸漬後の0、24および72 hにおけるディスクからは、緑膿菌およびA. baumanniiは検出されなかった。消毒用エタノールでは、緑膿菌およびA. baumanniiの生残が確認された。一方、銀配合エタノールは、生残を確認したがエタノール単剤より生残菌数が減少していた。次亜塩素酸ナトリウムにおける緑膿菌およびA. baumannii では、時間経過とともに生残菌数の増加傾向を示した。 消毒薬は、即時的な殺菌力を有することが重要視されている。しかしながら、ペルオキソ一硫酸水素カリウム配合除菌・洗浄剤、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩化ベンザルコニウムは、被験菌に対して長期的に殺菌力を有することが分かった。環境や生体に用いる消毒薬の持続力は、医療関連感染の予防に貢献することが示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療環境を想定したステンレス素材や人工皮膚表面をEtOHやNaClOなどでコーティング処理した。その表面上に、細菌培養液(MRSA、P. aeruginosa)を接種した。これらの被験対象物をPBSに懸濁後、コロニーカウントする方法をで検討した。 クロルヘキシジングルコン酸塩は持続的な抗菌力を示すと報告されていることから、血管アクセスデバイスの穿刺部位消毒などにCHG含有の消毒用エタノールとして使用されている。本年度は、人工皮膚の表面における各種消毒薬の持続的な抗菌力について検討した。 被験菌株はMRSA 4株とし、80% EtOH、0.5% CHG、0.2% BZC および10% ポビドンヨード (PVI) を消毒薬として使用した。これらの消毒薬に人工皮膚を5分間浸漬し、その被験素材を取り出してから0、24および72 h経過後に菌液を滴下した。これらの人工皮膚表面における生残菌数を測定した。PVIは、全ての時間において生残菌が確認されなかった。EtOHでは0、24および72 h後の菌数は、各々1.8×10^5 CFU/mL、1.2×10^5 CFU/mLおよび2.0×10^5 CFU/mLであった。CHGとBZCにおいても、EtOH付着の人工皮膚と同程度のMRSA生残数を確認した。 PVIは、人工皮膚上において72 h殺菌力が持続した。また、CHGは皮膚への吸着性があることから抗菌力が持続すると考えられたが、MRSA株が残存した。
|
Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進行していることから継続する。
|
Causes of Carryover |
次年度は国際学会での研究報告があるため。
|