2023 Fiscal Year Research-status Report
集中治療室看護師によるポイントオブケア超音波の臨床的意義の検証
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23K16416
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
谷口 隼人 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (40833306)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 集中治療 / 看護師 / ポイントオブケア超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
クリティカルケアを要する患者は人工呼吸管理等のため言葉を発することができない。そのため医療者は、患者の代わりに変化に気づき、対応しなければならない。しかし視診・聴診・打診・触診による身体所見は主観的であり、そこから得られる判断は一定ではない。ポイントオブケア超音波(Point of care ultrasound : POCUS)は非侵襲かつベッドサイドでできる客観的な画像検査であり、医療者であれば、誰もが施行可能である。コロナ禍かつ高齢化社会で患者が増加する一方で、今後も持続可能な医療を提供するためには、タスク・シフト/シェアをはじめとした多職種協働が求められる。そこでPOCUSを医師だけでなく、患者の傍で常にケアをする看護師が施行することで、看護アセスメントが変化し、それに基づく看護介入は、患者の安楽を促進させ、患者予後にも影響する可能性があると着想した。2023年度は、集中治療室看護師47名が臨床現場にてPOCUSを実施した。導入開始3ヶ月後、実施数は19-50-109件/月と増え続けたが、以後は一律減少した。膀胱エコーの実施数が一番多く、肺・血管・直腸の順となり、その傾向は半年、一年後も変わらなかった。得られる所見とその後の行動の関係が単純な膀胱エコーは看護師にとって有意義であり、継続されるものであるが、肺エコーは日々の微細な変化が主な所見であり、それをもとに行動することは難しいと考えられた。しかし常に患者のそばにいる看護師であるからこそ、得られる所見であり、日々の呼吸ケアに活かせる可能性があると考えられた。診断を求める従来の超音波検査、判断を求めるPOCUSに続き、その担い手が常に患者のそばにいる看護師へシフトした場合、評価のタイミングは点(point)ではなく線(line)となる。日々の変化を評価するLine of care ultrasound(LOCUS)という概念の立ち上げとそれをサポートする体制作りが必要だと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遅滞なく計画通りに進行している
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Strategy for Future Research Activity |
集中治療室看護師が患者アセスメントとして行う超音波検査を、Line of care ultrasound(LOCUS)という概念に発展させるべく、多数の看護師が撮影した超音波画像を、患者アセスメントに役立てられるようなシステムの構築を図っていく。またそれと同時にその臨床的意義を検証していく。
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Causes of Carryover |
超音波装置の購入費用を予定より抑えることができたため
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