2023 Fiscal Year Research-status Report
弾性着衣装着時の負担軽減に向けた動作パターンと圧力変化に関する調査
Project/Area Number |
23K16441
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Research Institution | Hokkaido Bunkyo University |
Principal Investigator |
金谷 匡紘 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (00457730)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 弾性着衣 / 動作分析 / 作業療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
弾性着衣脱着時の皮膚にかかる圧力の変化と、その際の運動パターンの関係性を明らかにするため、弾性ストッキング装着時の動作パターンの解析を進めた。被験者は20歳代の右利き健常女性5名で実施した.ストッキングは圧迫圧の低い市販のストッキング、市販の着圧型ストッキング、医療用弾性ストッキング(Class1)、医療用弾性ストッキング(Class3)と4種を用い,三次元動作解析装置(モーションキャプチャーVisual3D,Motion Analysis社)にて着衣中の動作の計測を行った.測定時の反射マーカーは「両側上前腸骨棘,両側上後腸骨棘ならびに仙骨中央」「両側肩峰,右肩甲骨(左右判別用)」「両側上腕後面中央,両側上腕内側上顆,両側上腕外側上顆,両側前腕中央後面,両側尺骨茎状突起,両側橈骨茎状突起,両側手背中央」の計22か所に貼付した.被験者には圧力の異なる4種のストッキングを背もたれの無い椅子座位で装着することを求めた.装着の実施順はランダムとした.装着後には,被験者には装着の困難さについてのアンケート調査を行った.動作の分析は装着時の様子を工程分析することに加え,三次元動作解析装置から得られたデータを基に,体幹前屈・回旋,肩関節屈曲・伸展,肘関節屈曲・伸展,手関節掌・背屈,前腕回内・外の角度変化と速度変化を算出した.解析は解析ソフト(Visual3D,Motion Analysis社)を用いて行った. 今後も被験者数を増やし,解析を進める予定であるが,現状ではストッキングの圧力が高くなると装着時の運動パターンと所要時間に違いを認めており,関連性が示唆されている.今後も調査を進めることで,リンパ浮腫患者の弾性着衣装着時の負担の少ない動作方法やその手順、効果的な福祉用具などの提言が可能となると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
三次元動作解析装置を使用中,当初予定していた反射マーカー貼付位置でデータ測定を実施していたが,装着動作によっては反射マーカーが隠れてしまい欠損データが多く出てしまったために測定のやり直しが生じてしまった.また,企画時には両足で履くパンティストッキングタイプを用いて研究を行う予定でいたが,上記理由と同様に骨盤を中心とした反射マーカーの固定にパンティストッキングタイプは影響してしまうため,使用するストッキングの種類の変更も行った.これらの遅れが影響することに加え,分析方法の確立がまだ進んでいないことから,当初の予定よりも被験者数が増えておらず,やや遅れた状況となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
ストッキングタイプの被験者データの収集と分析に加え、スリーブタイプについてもデータ測定方法の確立とデータ収集を進める予定である。また、動作解析のデータに加えて装着時の圧力データの測定も行い、実際の圧力と動作の関連性についても年度内に検証を行う。以降、2025年度にはその分析を行い、それぞれの安楽で効果的な装着方法の検討を行い、得られた装着方法の被験者への指導とデータ収集を進める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた被験者数に達さず、謝金の使用ならびに劣化する弾性着衣の買い替えを行わなかったため予算に余りが生じた。次年度データ収集を進めるにあたり、被験者への謝金ならびに実験回数を重ねることにより生じる弾性着衣の劣化への対応(買い替え)が生じるため、その費用に充当する予定である。
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