2023 Fiscal Year Research-status Report
不登校・ひきこもり者の家族システムの相互作用と変化に関する研究
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23K16460
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Research Institution | Shibata Gakuen University |
Principal Investigator |
萩臺 美紀 柴田学園大学, 生活創生学部, 講師 (80879784)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 不登校 / ひきこもり / 家族システム / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、不登校・ひきこもりの子どもとその家族の相互作用に着目し、不登校・ひきこもりの解決に効果的な家族成員のコミュニケーションを明らかにすることである。 当該年度は、不登校・ひきこもりの子を持つ保護者が子どもの問題を解決するためにどのような行動を行うかについて、また解決に至るプロセスについて明らかにすることを目的とした。当初の予定では、不登校・ひきこもりの子を抱える保護者に対するインタビュー調査を行う予定であったが、対象者の確保が困難であったため、調査方法を自由記述によるweb調査に変更した。子どもの不登校・ひきこもりを経験した保護者 66 名に対してweb 調査行い、親から不登校・ひきこもりの本人への関わりおよび片方の親への関わりに着目して、解決のためにどのような行動をしたのか明らかにした。 その結果、親から子どもへの関わりとして「受容的な関わり」「積極的な関わり」「受動的関わり」があることが示された。また、片方の親への関わりとして「夫婦での対応」「他方の親への頼み事」「片親での対応」があることが示された。 以上より、不登校・ひきこもりの子どもを持つ保護者の解決行動として、子どもとの関わりだけでなく、配偶者との情報共有や子どもへの関わり方の話合いを行っていることが示唆された。これまで夫婦のコミュニケーションの多さは、問題解決力や家族レジリエンスと関連することが示唆されている。このような知見と本研究の結果も踏まえると、不登校・ひきこもり問題においても、夫婦での話合いや情報共有が子どもの不登校・ひきこもりの解決にも関連しているのではないかと考えられる。そのため、今後は不登校・ひきこもりの当事者と親との関わりについて、夫婦間の相互作用に着目しどのようなコミュニケーションが不登校・ひきこもり問題の改善に有効かを明らかにする必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
不登校・ひきこもりの子を持つ保護者に対するweb調査を行い、結果についてKJ法を用いた分類を行った。分類の妥当性を高めるために、複数の専門家による客観的な視点が必要であったため、臨床心理学の専門家に依頼し分類結果を検討するという作業を繰り返した結果、分析に時間がかかった。その結果、量的調査を実施するための尺度作成まで進めることが困難となったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで実施した調査結果をもとに、不登校・ひきこもりの子どもを抱える保護者が解決に向けてどのような行動を行うかについて論文を作成する。さらに、子どもの不登校・ひきこもりの子を持つ保護者の解決行動尺度を作成し、信頼性と妥当性を検討する。すでに調査項目の作成・検討を行っているため、早急に調査を実施する予定である。その後、作成された尺度を用いて不登校・ひきこもりの保護者のどのような行動が不登校・ひきこもりの解決に有効であるかについて調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたインタビュー調査を自由記述式のweb調査に切り替えたため、インタビュー調査に使用する予定だった旅費と謝礼を使用しなかった。そのため、人件費と旅費に差額が生じた。また、量的調査の実施に至らなかったため、SPSS等の分析ソフトを購入しなかった。そのため、次年度は量的調査を行うために分析ソフトの購入費や調査費として使用する予定である。
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