2023 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症を有する高齢者のフレイル予防に向けた24時間行動の構築
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23K16598
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
出口 直樹 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50951927)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 24時間運動行動 / 生活の質 / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、変形性膝関節症(KOA)を有する高齢者の客観的に測定した24時間運動行動と病態進行およびフレイルとの関連を検証することを目的としている。令和5年度は、KOAを有する高齢者を対象に、質問紙を用いて24時間行動ガイドラインの達成状況と精神的健康度(WHO-5)および膝痛の関連を横断的に検証した。 我々は、板橋区内の37地区に住む70歳以上を対象に実施した包括的な老年医学健診である「板橋健康長寿縦断研究」のデータを利用し、KOAと診断された243名(中央値78歳、女性78.1%)を分析した。質問紙により中強度の身体活動時間、座位時間、睡眠時間を調査した。カナダの高齢者24時間行動ガイドライン(中強度の身体活動時間:週150分以上、座位時間:1日8時間未満、睡眠時間:夜間7〜8時間)の達成状況に基づき、対象者を3項目達成、2項目達成、1項目達成、達成項目なしの4つのカテゴリに分類した。その結果、達成状況は3項目達成21.0%、2項目達成46.1%、1項目達成24.3%、達成項目なし8.6%であった。3項目達成者に比べ、2項目達成者、1項目達成者、達成項目なしの者は精神的健康度が有意に低かった。一方、達成状況と膝痛は関連しなかった。本研究の結果は、KOAを有する高齢者にも24時間運動行動ガイドラインの達成を促すことが重要である可能性を示唆している。今後は、24時間運動行動の客観的な測定により、病態進行およびフレイルとの関連を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年間のX線の追跡調査ではKOAの病態を十分に捉え切れない可能性があった。そのため、軟骨代謝マーカーに着目し、同時に測定することでより科学的な検証が可能になると考え、他の研究助成金が使用可能な時期までスケジュールを遅らせた経緯がある。2024年6月からデータ収集のための検診を行い、1年後の調査も期間内に可能となるため、上記の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年10月と2024年2月に、板橋区在住の高齢者を対象に老年医学健診(お達者健診および板橋健康長寿縦断研究)を実施し、得られたデータをもとに、KOAの診断を受けたことがある、またはKOAのリスクが高い高齢者607名に対し、KOA検診に関するチラシを郵送した。本課題の計画上、240名を募集しているが、すでに約500名の参加希望をいただいており、対象者のリクルートは順調に進んでいる。KOA検診は、6月と7月にそれぞれ2日間、計4日間実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度にデータ収集のための検診をおこなう予定であった。しかし、軟骨代謝マーカーに着目し、同時に測定することでより科学的な検証が可能になると考え、他の研究助成金が使用可能な時期までスケジュールを遅らせた。昨年度実施する予定であった検診を本年度に実施するため次年度使用額が生じた。
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