2023 Fiscal Year Research-status Report
寝たきりに伴う起立耐性低下を予防する次世代リハビリテーション機器の開発
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23K16610
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平林 卓己 神戸大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (20911150)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リハビリテーション機器 / 下半身陰圧負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
入院に伴う長期間の寝たきり状態は、循環調節能の鈍化を引き起こし、これが起立耐性の低下、運動耐容能及びADL能力の顕著な低下に繋がる。我々は、宇宙医学分野で既に使用されている下半身陰圧負荷装置(Lower body negative pressure: LBNP)を医療現場で利用する着想を得た。LBNPは寝たままの状態で下半身に陰圧を加え、起立時と同様の血行力学的変化を模倣できる装置である。本研究の目的は、LBNPの原理を応用した次世代リハビリテーション機器を開発することにある。令和5年度には、臨床現場での将来的な利用を視野に入れ、装置の小型化に着手した。従来のLBNPは骨盤より遠位部(下半身全体)を陰圧対象としていたが、新型の装置は大腿近位部以下(下肢のみ)を対象としている。年度内には、この新型装置のプロトタイプである下肢人工陰圧装置(Lower-limbs artificial negative pressure: LANP)を完成させた。このLANP装置の主な構造物は、両下肢をそれぞれ挿入するチャンバー、圧力調整システム装置、吸引機である。チャンバー内に配置した下肢に対し、吸引機を使用して陰圧に調整することで、下肢への血液流入を増加させる。これは、通常重力によって下半身にプールされる状態を模擬するものである。初期の予備実験では、LANP負荷を-40mmHgと-80mmHgに設定し、座位や立位に相当する下肢血流量の変化を近赤外分光法を用いて確認した。この予備実験で得られたデータを基に、今後はLANPの安全性を評価する健常者を対象とした単群試験を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、医療機器開発のための基礎研究であり、本課題は3 年間で計画されている。令和5年度にはプロトタイプの装置が完成し、令和6年度にはプロトタイプの装置を利用した安全性評価および効果検証を目的とした試験を行える状況にある。したがって、当初の計画通りに進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、前年度に完成したプロトタイプの装置(LANP)を使用して、LANPの安全性を評価する健常者を対象とした単群試験を計画している。
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Causes of Carryover |
医療機器開発の研究を行う上で装置作製のための実験用消耗品を多く購入する見込みであったが、プロトタイプの装置が早期に完成したため相当額が次年度へと繰り越しになった。次年度以降において装置の再設計や改良等で使用する予定である。
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